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現在ノイズキャンセリングと謳われているものには、大きく分けてANCとCVCの2種類があります。それぞれまったく別の機能です。両方対応している場合もあれば、どちらかのみ対応の場合もあります。
ANC(Active Noise Control)は、日本ではアクティブノイズキャンセリングと呼ばれるものです。ノイズの音に対して、反転させた音を出すことで打ち消し合って±ゼロになるという技術です。外音を取り込んで反転させた音を出すまでに処理時間が発生しますが、電気は音の1000倍の速さがあるため、ANC対応のDSPを用いることで遅延(位相ズレ)を防いでいます。音の速さは一定のため、キャンセリング音と外音の時間ベクトルの位相差は、処理時間以外ではマイクとスピーカーの距離ベクトルと、外音音源とスピーカーの距離ベクトルのズレに依存します。外音の音源位置によらず完全に打ち消すには高度な技術が必要で、マイクを2つ使って距離ベクトルの補正をする製品も出てきています。この処理が速く反転音が正確なほど、音が消えることになります。
CVC(Clear Voice Capture)は、クリアボイスキャプチャーと呼ばれるもので、マイク機能を使って通話をするときに相手が聞き取りやすいようにエコーキャンセリングやマイクノイズを丸める機能のようです。CVC8.0 等と表記されています。ANCのように、外音のノイズをキャンセリングする機能はありません。Amazonのタイトルで単にノイズキャンセリングと書かれている場合、こちらを指している場合がほとんどなので注意が必要です。ANCなしでCVCのみで外音ノイズが小さく感じる場合は、そのヘッドホンやイヤホンの遮音性(パッシブノイズキャンセリング)が耳栓のように優れているだけです。
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