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No.5035 2023.10.4
富士通 ESPRIMO D588/VX を分解してみた
□1.内部の確認
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蓋を開けた状態です。蓋はネジで1ヶ所留まっています。
CPU用の冷却ファンは、筐体ファンを兼ねる構造になりました。
ヒートシンクはネジで4ヶ所留まっていますが、各ネジの間隔が正方形であるため、どの向きでも取り付けられてしまいます。写真の向きが正しいようですので、CPU換装時は注意しましょう。
メモリスロットは4つあり、DDR4-2666などが使用できます。
HDDは3.5インチではなく、東芝製の2.5インチドライブが使用されています。
HDD用マウンタがあれば、3.5インチドライブも取り付け可能なようです。
3.5インチと2.5インチの同時搭載は、物理的に難しそうです。
ライザーカードです。PCI-Express バスの信号線をそのまま延長しているようです。
基板のアートワークで気になったのがこれ。富士通ロゴやラベル位置を優先させるためにこうなったと思われますが、もう少し工夫できなかったのかな?と思います。
それと気になったのがこれ。
等長配線なレイアウトになっていますが、配線近くの片側にネジ留め用のGNDがあります。ここのGNDは筐体ホディのFG、すなわちAC100V系のGNDです。確実に信号特性が悪化する気がしますが、実際はどうなんでしょう。
ライザーカード裏面です。
等長配線を目指したのだと思いますが、ネジ穴の位置をなんとかできなかったのかな?と思います。
こちらも、配線近くにネジ留め用のGNDパターンがあります。
マザーボードのライザーカードを挿すコネクタ付近です。
SATAの空きパターンがあります。右側にUSBのパターンが見られますが、USB2.0のようですので価値はありません。
下図のように、直流カット用のコンデンサとコネクタを実装すれば動くと思います。
ただしBIOSで意図的に無効化されている可能性もありますので、自己責任で挑戦してみてください。
コンデンサのサイズは1005で、10〜22nFくらいで大丈夫だと思います。
具体的なやり方は、以下の以前のレポートと同じです。
レポート No.5021 富士通 デスクトップPC ESPRIMO に SATAインタフェースを増設する
気になったのがこれ。PCI-Express バスの x1が2つ、x4が1つ、実装できるようになっています。
デスクトップサイズのPRIMERGYは、昔からLow Profile専用ですので、PRIMERGYとの共通化を目指したのでしょうか?謎です。
D588シリーズ後継のD7011からLow Profile専用になったのも関係ありそうです。
PCI-Express コネクタをはんだ付けしたい場合は、コネクタ付近にある直流カット用コンデンサもしくは終端抵抗、およびsコネクタ近辺(写真の場合、右下)にあるジャンパ部品を移動させる必要があると思います。
驚いたのがこれ。M2スロットがあります。左側はNVMe、右側は無線LANボード用のようです。
コネクタの側に、「M.2(PCIe)」という文字が見えますので、NVMeで間違いないと思われます。 コネクタは、M keyです。
こちらはコネクタの側に、「M.2 WLAN」という文字が見えますので、無線LAN用で間違いないと思われます。 コネクタは、E keyです。
CPUと筐体冷却を兼ねたファンです。QFR0812SHというデルタ製の12cmファンが使用されています。コネクタは4ピンです。
ファンはゴムのようなもので筐体で留まっています。
マザーボードを色々見ていて気になったのがこれ。部品のレイアウトを45度で指定できるCADソフトとマウンタがありますが、45度刻みよりも自由な角度で実装されています。無駄に高技術が使われています。写真左上を見ていると明白ですが、そもそも全体的に配線のアートワークが雑なのも分かると思います。
チップセットです。SR408という刻印があるので、B360で間違いないです。富士通のサイトのスペック表にもチップセットがB360であると明記されています。
刻印とチップセットの対応表はこちらです。
マザーボード表面の全体図です。
マザーボード裏面の全体図です。裏面に部品がありませんので、こちら側をコネクタはんだ付けのフロー処理のみとすることで、製造コストの削減を狙ったのだと思われます。
オンボードのLANチップです。REALTEKのRTL8111GFが使用されています。カニさんマークの入っていないICは、初めて見ました。
謎なのがこれ。NUC029FAEというARMコアのマイコンです。メーカーは Nuvoton Technology という会社で、いかにも怪しい中国系企業のように感じますが、調べてみたところパナソニック系の企業のようです。この汎用マイコンを何に使用しているのでしょうか。
写真左側のICも Nuvoton Technology 製で、NCT6796Dが搭載されています。色々な機能の統合ICで、マウスやキーボードのPS2端子もこれで制御しているようです。他にもD588では使用されていませんが、プリンタポート(EEP+ECP)などにも対応しているようです。
写真右上のICは、Realtek製の ALC671 というオーディオチップです。
DVI端子付近にある謎のコネクタ。ピン数的にアナログRGBかな?と思いますが、どうでしょう。
電源です。長らくデルタ製の電源が使用されていましたが、ラベルにデルタ記載がありません。まさかの内製化でしょうか?
ギッシリ詰まっています。自動化は無理だと思いますので、もの凄い人件費が掛かっている気がします。
DC降圧回路の基板だと思います。基板をよく見るとデルタのロゴが見えるため、やはりデルタ製のようです。
基板裏面です。片面基板で、マザーボードとは異なり綺麗なアートワークだと思います。
整流基板だと思います。部品は良い物が使われています。
ACコネクタ付近です。バリスタがはんだ付けされていますが、ここまで手作業で色々やる必要があるのかな?と思います。はんだ付け不良によるショートが怖い気がします。
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