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No.0021 2024.2.17



電気信号の電圧変換、レベルコンバート









□ 1.電圧を変換したい

12Vから5Vへ、5Vから12Vへ電圧のレベルを変換したいときがあります。
1方向に電気信号を流したい場合は、簡単でトランジスタ1個と抵抗2つで変換できます。
レポート No.2026 調光機能付きイルミネーションから安定してイルミ電源を取る方法 にて、実際に回路として使用しています。
この回路は非常に低コストで簡単ですが、信号が反転してしまうデメリットもあります。もちろん出力信号に対して、同じ電圧で再び反転させれば元に戻ります。












しかしこの回路では、outからin側へ信号を流すことができません。






□ 2.双方向に信号を流す

双方向に電圧変換したい場合、FETを使用します。
FETの選定要件としては、GATEの駆動電圧が低いこと、ドレインの耐圧が仕様を満足すること、信号のスイッチング速度に影響を及ぼさない程度に寄生容量が低いこと、などがあります。一般的に電流量Idが低く、パッケージサイズが小さいほど、寄生容量は小さいです。

DigiKeyのサイトに、分かりやすい記事があります。
https://www.digikey.jp/ja/blog/logic-level-shifting-basics
2021-08-05 ロジックレベルシフトの基礎 Don Johanneck著

この記事のようにLT SPICEにて回路を作成し、動作を確認してみましょう。




最初に12V系の電圧信号を5V系へ送る条件について、動きを見ます。
5V側は信号OFFの状態で、電圧レベルは5V一定になります。
つまりゲートソース間電圧Vgsは、0V一定となり、FETは動作しません。




in側の電圧がHi=14V すなわちFETのM2がOFFのとき、FETのM1には電気が流れないためOUT側の電圧はHi=5Vとなります。




in側の電圧がLo=0V すなわちFETのM2がONのとき、FETのM1には寄生ダイオードを通してM2に電気が流れます。OUT側の電圧は、ダイオードの順方向電圧Vfである約0.7V程度となり、0.7Vがスレッショルド電圧でLoと判定される場合は、Loとなります。Vgs間の電圧は4.3Vとなり、FETのM1がONとなりますが、ドレイン電圧がほぼ0Vのため12V側からは電気が流れません。




黄色はin側12V系の波形、赤はout側5V系の波形です。





次に5V系の電圧信号を12V系へ送る条件について、動きを見ます。
in側の電圧がHi=5V すなわちFETのM3がOFFのとき、 M1のゲートソース間電圧Vgsは0Vとなり、OFFとなります。 FETのM1には電気が流れないためOUT側の電圧はHi=14Vとなります。




in側の電圧がLo=0V すなわちFETのM3がONのとき、 M1のゲートソース間電圧Vgsは5Vとなり、FETがONとなります。 FETのM1には12V系の電気が流れるためOUT側の電圧はLo=0Vとなります。




黄色はout側12V系の波形、赤はin側5V系の波形です。 トランジスタによる電圧変換とは異なり、論理が反転していないことが分かります。











□ 3.低電圧のレベル変換

FETのソース側が5V以上のときは、上記のような回路で問題ありません。しかし1.8V等のような低い電圧の場合、FETが十分にONとならず、動作が成立しない場合があります。例え動いているように見えても、FETの自己発熱ですぐに壊れてしまうかもしれません。

低電圧の場合、一般的にはレベルシフターICを使用します。
1.8Vと12Vで変換したい場合、1.8Vと5VはレベルシフターIC、5Vと12VはFETで行い、一度5Vに変換してから目的の電圧に再変換します。





東芝のICでは、TC7SPB9306TU(1回路)、TC7SPB9307TU(1回路)、TC7WPB9306FK (2回路)、TC7WPB9307FK (2回路)などがあります。













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