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No.2026 2017.6.5
調光機能付きイルミネーションから安定してイルミ電源を取る方法
□ 1.カーオーディオのイルミがONにならない
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新しく購入したカーオーディオ DEH-5300 ですが、
ライトを付けてもイルミ(ディマー)がONになりません。
初期不良かな?と思ったのですが、
色々思い出して見るとこのクルマにはイルミの調光(照度)調整ダイヤルがあります。
夜間のメーターやエアコンボタンなどの照明の明るさを調整できる機能です。
外車や高級車などに標準搭載されています。
夜間にメーターが眩しいなぁと思えば、暗めにすることができます。
試しに調整ダイヤルを回してイルミを明るくしてみると、イルミがONになりました。
調光機能が悪さをしていることが分かりました。
ちなみに一定以上の明るさでイルミがONになるのですが、ONになる閾値の限界を探っていると、
イルミ表示がデモモードになったり高速でイルミがON/OFFしたりするので、
DEH-5300のバグだと思われます。
今まで付けていたカーオーディオもパイオニア製でEL表示のそこそこの高級機ですが、
このような症状は発生しなかったので本機特有の現象です。
(カーナビだと、特定の操作ボタンを押しながらイルミをON/OFFすると裏モードに入れたりする物もありますが、そういう感じではありません。)
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□ 2.イルミ信号(イルミ電源)の波形を取ってみた
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この調光機能は、可変電圧のレギュレータで出力電圧を変えるか、
電圧12V一定でPWM制御にてON/OFFの時間を調整することで出力を調整しているのだと思います。
LED照明の場合は、PWMで光量調整が一般的だと思います。
とりあえず、イルミをONにしたときにどのような電圧が出ているのか分からないので、
オシロで測定してみました。
イルミを一番暗くしたときの波形です。
エンジンが掛かっている状態ですので、電圧は14Vです。
1.4ms ON、11.2ms OFF、周期12.6msでPWM制御でした。
イルミを明るくしたときの波形です。
10ms ON、2.6ms OFF、周期12.6msです。
周期は変動せず、ON時間が大きくなることでイルミの照度が上がります。
調光ダイヤルを最大にすると、イルミ波形が14V一定(OFF時間ゼロ)になりました。
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□3.調光イルミ信号のリレー(安定化回路)を考える
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というわけで、メーカーに問い合わせても、
「仕様です」もしくは「お乗りになられている車種には対応していません」
と回答されるだけだと思いますので、イルミ信号の安定化を考えてみます。
一番簡単なのは、PICマイコンで例えば200μs程度の一定周期でイルミ信号を読み取り、
数カウント連続でONが確認できればONと判定してカーオーディオ用イルミ信号を一定時間出力する、
出力中もイルミ信号を読み取り続けて、ONと判断すれば出力判定時間カウンタをセットし直す、
といったように制御すれば対応できます。デジタル1入力1出力で対応できますので、
PIC12Fの8pinの一番安いマイコンで対応できます。
が、マイコンを使うとC言語を使うので敷居が高いと感じる方も少なくないと思いますので、
誰でもできるように回路のみで考えてみることにしました。
イルミ信号をトリガとして考え、
トリガON中でタイマーが動作して一定時間カーオーディオ用イルミ信号を出力する
という回路を考えます。
タイマー機能はICを用います。具体的にはNE555N(もしくはNE555P)を用います。
NE555NとNE555Pは互換性があり、NE555Nは ST Micro製、NE555Pは Texas Instruments製です。
(写真はNE555N)
で、とりあえず書いてみた回路がこれです。
これでもとりあえず動くと思うのですが、NE555(LMC555も含む)は、タイマーON中に
トリガ信号が再入力されても無視されるという特徴があります。
するとタイマーが終わってOFFになったときにイルミのPWMがOFFのタイミングだと、
数msのイルミOFFが発生します。
何か別のICがないか探してみたところ、74HC123がありました。
東芝のデータシートには
「再度トリガ入力が与えられるとそのトリガも有効となり単安定モードを持続させることができます」
とハッキリ書いてあるので期待しましたが、2回路入りで16pinと物理的寸法が大きく、
秋月電子で扱っていないので見送ることにしました。
1回路は74HC121のようですが、型番をGoogleで検索してもまったく出てこないので
入手不可能な幻のICのようです。
なんとかNE555を使用してうまくできないか調べてみたところ、
こちらのサイト(http://www.geocities.jp/side2949be/scm.html)の「リトリガー回路」で再トリガー問題が解決できることが分かりました。言われてみれば確かにコンデンサをGNDに落としてやればタイマーが持続しますが、こういった電気的アプローチが思いつくどころか、そもそも2SAの存在を忘れていました。
で、反映したのがこの回路です。
<クリックで拡大できます>
Excelで清書した回路図も載せておきます。
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