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No.5002 2016.6.22
富士通 LIFEBOOK A540 Core2 Duo にCPU交換
LIFEBOOK A540 のCPU交換について取り上げてみます。
GL40ではFSB800MHzまで動作可能ですが、多少制限があります。
A540/A、A540/B にて実際に動作確認をしました。同一チップセットが搭載されているA8290、A8295、A6290などでも流用できると思います。
□1.今回交換するCPU
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Core2 Duo の2GHz以上は、ほとんどが1066MHz駆動です。
今回は数少ない800MHz駆動の1つである、Core2 Duo T7500 (2.2GHz、2次キャッシュ4MB、TDP35W)を選定しました。
しかし、オススメはしません。理由は終盤にて説明します。
左がCeleron 900、右がCore2 Duo T7500
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□2.LIFEBOOK A540 の分解方法
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分解に必要な工具は、#1のプライスドライバー1本、マイナスドライバー1本です。
プライスドライバーは、#0を使うとネジ山をなめてしまいます。
CPU交換をするので、熱伝導用のシリコングリースも必要です。
(1) |
ACアダプタのプラグが挿されている場合は抜きます。
バッテリ電池を外します。
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(2) |
PCMCIAカードスロットに挿されているスペーサーやカード等を抜きます。
USBコネクタ等に接続されているすべてのモジュールやケーブルを抜きます。
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(3) |
ネジを外して、メモリスロットのカバーを外します。
メモリモジュールは、取り付けたままでかまいません。
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(4) |
DVDドライブを固定している、2ヶ所のネジを外します。
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(6) |
2ヶ所のネジを外して、HDD取付部のカバーを外します。
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(7) |
HDDマウンタを固定している3本のネジを外します。
HDDマウンタをスライドさせて、シリアルATAのコネクタを外します。
コネクタから外れると、HDDマウンタがHDDごと外せます。
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(8) |
背面12ヶ所と、ドライブスロット付近の2ヶ所のネジを外します。
ネジを外しても、まだカバーは外れません。無理な力を加えないようにします。
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水色部分の2ヶ所のネジは、ドライブが装着されているときベゼルに隠れていて見えません。
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(9) |
本体の上下を引っ繰り返します。ヒンジ部分の後部のネジをそれぞれ取り外します。
すると樹脂カバーも外れるので、なくさないように保管します。
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(10) |
キーボード上部のカバーを外します。
以下の12ヶ所の樹脂爪構造によって固定されています。
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(11) |
ヒンジ部分を上に引っ張ると、割と簡単に樹脂カバーが外れます。
残りの部分も上に押し上げるように外して行きます。
カバーの裏にフレキがあるので、カバーを引っ張らないように注意します。
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(12) |
カバーのフレキを外します。
ロックレバーを奥にスライドさせて、フレキのロックを解除します。
フレキを抜き、カバーを外します。
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(13) |
キーボードを外します。
赤枠の部分の突起を使って、指で上に引き上げます。
水色枠の本体側に粘着テープが貼られているため、引き剥がすのに力が必要です。
キーボード裏にフレキが付いているので、取扱に注意します。
ちなみにキーボードの品番はCP355576-02(N860-7627-T257)です。割と入手が困難です。
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キーボード裏のフレキを外すために、引っ繰り返してタッチパッドの上に置きます。
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(14) |
キーボードのフレキを外します。
ロックレバーを手前にスライドさせて、フレキのロックを解除します。
フレキを抜き、キーボードを外します。
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(15) |
タッチパッドのフレキを外します。
ロックレバーを手前にスライドさせてフレキのロックを解除し、フレキを抜きます。
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(16) |
スピーカー用の出力端子を外します。そのまま引き抜きます。
引き抜くときは、黒色のカバーを折り曲げないように気をつけます。
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(17) |
液晶モニタのコネクタ端子を外します。横にハーネスが生えてますが、凸凹型の上から差し込むタイプのコネクタです。
真上に引き抜きます。外したら、ハーネスをクランプ部分から外しておきます。
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(18) |
右ヒンジ左側の筐体のネジ1ヶ所を外します。
なお、液晶モニタヒンジ部の付け根に固定されているネジは外してはいけません。
遊びが大きいため、取付時の位置決めが難しいためです。テキトーに取り付けても機能しますが、ヒンジが固かったり、開閉動作時にパキッと音が鳴る場合があります。
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(19) |
筐体のネジ5ヶ所を外します。
このとき液晶モニタを垂直に立てていない場合、モニタが後方に倒れてしまいます。
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(20) |
液晶モニタを真上に持ち上げます。
上部のカバーごと外れます。
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(22) |
マザーボードを取り外します。
PCMCIAのスロット側を持ち上げます。このときPCMCIAスロットにカードが挿されていたりイジェクトボタンが出たままになっていると持ち上げることが出来ません。反対側は、赤丸部分のオーディオコネクタが筐体に引っかかっているので持ち上がりません。
図のように引き起こしたら、PCMCIAコネクタ側から赤丸部分を引き抜くように外します。
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(23) |
取り外したマザーボードです。PCMCIAコネクタは付けたままにしておきます。
慣れればここまで5〜6分でできると思います。
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ちなみに基板はベトナム製。今の時代、中国製や台湾製は高品質、高価格帯品がほとんどです。
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(24) |
裏面です。CPUファンが見えます。
ちなみにRTC等の駆動にバッテリ充電池ではなく、FDK製のボタン電池(CR2032)が使用されています。
ノートパソコンでCR2032が使用されているのを初めて見ました。
バッテリ充電池を使用していても充電不良となったときに交換しやすいよう、普通はキーボード下のあたりにレイアウトすると思うのですが、
電池が切れたら買い換えろということでしょうか。
逆に評価できる部分もあります。ACアダプタからのDC入力コネクタが基板にネジ止めされて、ハーネスを介して基板に接続されている点です。通常は、基板に直接ハンダ付けします。しかしコネクタを抜き差ししているとハンダ部分に応力が掛かり、ストレスとして溜まるとハンダクラックが発生して通電不良を引き起こします。そのような不良を防ぐために、わざわざコストを掛けてネジ止めして、ハンダを使わずにハーネスを介しているのです。コネクタの基板側端子にバネ弾性がある構造の物を採用するか、付近をネジ止め固定せずに基板側にバネ弾性を持たせるか、昔ながらのハンダてんこ盛りをしていれば、少なくともCR2032が電池切れを起こすまでの耐久性は確保できると思うのですが、正直よく分からない設計思想です。それともCR2032で10年以上持つような超省電力設計なのでしょうか。もしそうなら、コストと耐久性のバランスを高次元で取った、日本メーカー設計品と呼ぶにふさわしい完成度だと思います。
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