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電子負荷で最も使用する、CRモード(定抵抗モード)について動作を確認します。
抵抗値の設定は、Ω値でできます。他メーカーにおける電子負荷の場合、コンダクタンス値で設定したり、設定方法が特殊だったりしますが、これは簡単にできます。
FETの発熱を測定するために、熱電対を付けます。すべてのFETを測定するのは大変なので、片側の3ch分のみ測定します。
直流安定化電源と電子負荷を接続して、動作確認をします。
回路は、単純な電源と抵抗の組み合わせです。
実際の環境は、写真のようになります。
オシロスコープで電源電圧と電流波形を測定し、安定度を確認します。
(1) 2A 5Ω
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最初に電子負荷を5Ωに設定します。電源電圧は10Vに設定するため、電流は2A流れることになります。
このときの温度上昇は、凾s=2.2℃でした。FETによって温度上昇にバラツキがありますが、微々たる上昇で余裕があります。
電圧や電流波形に変動はなく、安定しています。電流はCH2で、1A=0.1Vとなります。
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(2) 10A 1Ω
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次に電子負荷を1Ωに設定します。電源電圧は10V一定のため、電流は10A流れることになります。
経路上の損失による電圧降下があるため、電源電圧は電子負荷の入力が10Vとなるように0.11V分を昇圧させています。
このときの温度上昇は、最大で凾s=21℃、表面温度Tc=44.3℃でした。FETによる温度上昇のバラツキが大きくなっています。
電圧や電流波形に変動はなく、安定しています。電流はCH2で、1A=0.1Vとなります。
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(3) 20A 0.5Ω
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次に電子負荷を0.5Ωに設定します。電源電圧は10V一定のため、電流は20A流れることになり、消費電力は200Wとなります。こういった大電流となる抵抗値を気軽に設定できるのが、電子負荷の長所です。
経路上の損失による電圧降下があるため、電源電圧は電子負荷の入力が10Vとなるように0.26V分を昇圧させています。
このときの温度上昇は、最大で凾s=32℃、表面温度Tc=56.4℃でした。最も発熱の高いFETと低いFETとの温度差は、16.1℃もあります。
電圧や電流波形に変動はなく、安定しています。電流はCH2で、1A=0.1Vとなります。
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(3) 30A 0.33Ω
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次に電子負荷を0.33Ωに設定します。電源電圧は10V一定のため、電流は30A(300W)流れることになります。わずか0.17Ωの低下で20Aから30Aへ増加しますが、設定した抵抗値を安定的に使用できるのも電子負荷の長所です。
経路上の損失による電圧降下があるため、電源電圧は電子負荷の入力が10Vとなるように0.42V分を昇圧させています。
このときの温度上昇は、最大で凾s=48℃、表面温度Tc=71.8℃でした。最も発熱の高いFETと低いFETとの温度差は、23.5℃もあります。一般的なTO-247パッケージのFETにおいて強制空冷でない場合、表面温度Tcの温度上昇が70℃を超えると危険であると思いますので、30A程度に留めておいたほうがよいでしょう。温度上昇のバラつきが小さい個体で、もしくは電子負荷を使用する周囲温度(雰囲気温度)が低い状態で一定していれば、定格の40Aでも長時間安定的に使えると思います。
電圧や電流波形に変動はなく、安定しています。電流はCH2で、1A=0.1Vとなります。
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