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No.2535 2021.8.10




BMW E46 BMW E46 VANOS シール交換






□ 1.VANOSのオイルシール

BMWの可変バルブタイミングがVANOSです。油圧で動作するのですが、圧力が掛かるピストンのオイルシールが劣化するとシールの隙間からオイルが漏れ出てしまいます。つまりカムシャフトのタイミングが、正しく可変できなくなります。

残念ながらこのオイルシール、純正で品番が設定されていません。
ユニットごと交換すると、品番11361440134 で7万円くらいです。


ですので、必然的に社外品を使うことになります。
販売ルートは限られていますが、M52TUB、M54共通で使えるようです。
以下が、今回使用する部品の一覧です。

VANOSピストン用Oリング(茶色)・・・大小 各2個
VANOSピストン用ナイロンリング(白)・・・大小 各2個
VANOSピストン固定用ボルト・・・2本
VANOSピストン固定用ボルト用キャップ・・・2個
VANOSピストン固定用ボルト用キャップ用Oリング・・・2個
VANOSオイルホース用アルミワッシャー・・・2個
VANOSエキゾースト側ピストン蓋用ガスケット・・・1個
VANOSインテーク側ピストン蓋用ガスケット・・・1個
VANOSユニット用ガスケット・・・1個



なお、写真左側にある金属リング2個は、ピストン内で使用されているスラストベアリングのスリーブとして使用されるものです。 オイル管理が悪いとこのリングが摩耗してガタが出るようです。今回は問題がなかったため、使用しませんでした。



□ 2.VANOSユニットの取り外し

事前準備として、ヘッドカバーを外しておきます。
冷却ファンも外しておきます。
以下のレポートを参考にしてください。

No.2039 BMW E46 3シリーズ エンジン ヘッドカバー 交換 6気筒 オイル漏れ
https://www.suwatsu.com/am/report/report_2039.htm

No.2533 BMW E46 E46 スパークプラグ、イグニッションコイルの交換方法
https://www.suwatsu.com/am/report/report_2533.htm

No.2534 BMW E46 E46 ファン カップリング交換
https://www.suwatsu.com/am/report/report_2534.htm




サーモスタットに付いているセンサのコネクタを外します。




VANOSに付いているカムシャフトセンサと油圧バルブのコネクタを外します。





外したカムシャフトセンサと油圧バルブのコネクタを、サーモスタットの隙間から外します。





インテーク側VANOSにある油圧バルブのコネクタを外します。




エンジンリフト用のブラケットに付いているボルトとナットを外します。 上側のナットは11m、サーモスタット側は13mmです。




VANOSの給油ホースを外します。ナットは19mmです。外したときにオイルが出る場合があるので、袋などを引いておきます。




外したら栓をしておきます。




リフト用ブラケットを外します。




VANOSユニットのピストンの蓋を外します。BMWでは珍しい、六角のトルクレンチを使用します。 インテーク側、エキゾースト側の両方について、同じ作業をします。




こんな感じのネジです。ワッシャーは再利用します。




ピストンの蓋を開けると、中はこんな感じなっています。中に赤いキャップが見えると思います。 ラジペンで中央を摘まんで、引っ張って抜きます。




こんな感じのキャップです。ネジ構造ではなく爪で勘合されているので、引っ張らないと外れません。




キャップを取ると、中はこんな感じなっています。中にトルクスが見えると思います。 このネジは左ネジです。右に回して外します。逆に回すと簡単に折れます。





外したボルトです。このボルトは再利用禁止のようです。必ず新品を使用します。




下準備は完了です。いよいよVANOSユニットを外します。10mmの6ヶ所のナットと13mmの1ヶ所のボルトを外します。 13mmのボルトはネジ部分が突き出ているので、セミロングのソケット、もしくはメガネレンチを使用しないと外れないと思います。








外れた状態です。VANOSユニットは引っ張れば外れます。ガスケットは必ず新品を使用します。
なおネットの記事で、こんな感じで開けてみたらカムシャフトのVANOSギヤに付いているナットが外れていた、という事例を見かけました。 まさかと思って増し締めしてみたところ、エキゾースト側手前のセンサ用プレートを留めているナットが1か所緩んでいました。 締めすぎると折れてしまいますが、適切なトルクで締め付け確認をしたほうが良いでしょう。




VANOSユニットのオーバーホール中は、エンジンに砂埃が入らないように新品のゴミ袋等を被せておきます。





□ 3.VANOSユニットのオーバーホール

作業自体は、とても簡単です。タイミングを調整したり、タイミングがずれないように専用治具を使ったりといった作業はありません。標準工数は0.5hくらいで、早い人だと10分掛からないと思います。

外したVANOSユニットです。この中にあるピストンのオイルシールとOリングを交換します。





インテーク側、エキゾースト側それぞれにピストンが入っています。 10mmのナットを外して蓋を開けます。




エキゾースト側には、写真のようにピストンにスプリングが取り付けられています。
ボルトを外すときは、蓋を押し付けた状態にして飛び出さないようにします。




スプリングには上下があるので、組み付けるときは間違えないようにします。




ピストンを外した状態です。スプリングの向きが正しいと、溝にスプリングが嵌まります。




外したピストンです。この黒い2つのピストンシールとその中にあるOリングを交換します。




ピストンの中にはスラストベアリングが入っています。なぜかインテーク側が汚れやすいので 分解して清掃します。写真の24mmのナット部分をインパクトで緩めます。締め付ける時は、ホイールナット用のオーバートルク防止アダプタを付けて締めます。




ピストンを分解した状態です。スラストベアリングは2つ入っています。 オイル管理が悪いと赤矢印のスリーブが摩耗してしまうようです。今回は問題ありませんでしたので交換せずに元の物を使用しました。 スリーブを外すとオイルスラッジが溜まっていると思いますので、綺麗に掃除して取り除きます。
組み付けるときは、砂埃が入らないようにベアリングやワッシャー、スリーブにオイルを塗りつけてから組んで行きます。




ピストンの分解清掃が終わったら、最後にオイルシールとOリングを交換します。オイルシールはナイロン製?で弾性がないので、カッターで写真のように斜めに切って外します。そうすると内部にOリングが見えるので、普通のOリングと同じように外します。組み付けるときは、オイルシールやOリングにシリコンスプレーを吹き掛けると、簡単にはまります。




VANOS本体側も、オイル汚れを綺麗に落としておきます。綺麗なエンジンオイルをシリンダ内部に塗って組み付けます。当然ですが、インテーク側とエキゾースト側を入れ間違えて組まないように気を付けましょう。




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