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No.5001 2016.6.22




富士通 LIFEBOOK A540 8GBにメモリ交換





LIFEBOOK A540 のメモリ交換について取り上げてみます。 最大8GBまで搭載可能ですが、多少制限があります。 A540/A、A540/Bにて実際に動作確認をしました。同一チップセットが搭載されているA8290、A8295、A6290などでも流用できると思います。




□1.富士通製PCの過去と現在

富士通のパソコンと言えば、昔は信頼性も低くトラブルも沢山ありました。3.5インチHDD撤退の引き金となったであろうMPG3204ATやMPG3409AT等に搭載されていたコントローラー不良は、失敗知識データベースの失敗百選として今でも語り継がれています。Pentium4の時代では、コンデンサ不具合がDELLなどの他のメーカーと同じように発生していました。富士通PCユーザーは、不治痛(調子の悪いパソコンを使い続ける)と揶揄されていた時期もありました。
ちなみにコントローラー不具合の件は、同じ封止材を使用した他のLSI等のチップでも同様の可能性があり、リコールされずにそのまま放置された事例もあるようです。

参考資料:畑村創造工学研究所 富士通ハード・ディスク・ドライブ不良問題
http://www.sozogaku.com/fkd/cf/CA0000624.html

参考資料:FMV−DESKPOWERシリーズ 内蔵ハードディスクの不具合について
http://www.fmworld.net/annc/pb16/index.html

参考資料:FMVシリーズ/PRIMERGYの内蔵磁気ディスク装置の不具合に関する重要なお知らせ
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2002/07/24-2.html


しかし現在では、少なくとも法人向けPCは鉄板と呼べる信頼性があります。 デスクトップPCの法人向けESPRIMOシリーズやノートPCの法人向けLIFEBOOKシリーズには、サーバー級の安定性があります。 知人にオススメのパソコンを聞かれたら、迷わず法人向けモデルのLIFEBOOKやESPRIMOを勧めます。



□2.LIFEBOOK Core2世代ノート一覧

スペックは以下の通りです。
A8290、A8295、A8280のCore2 Duoモデルはもちろんですが、 A540/CでもGM45が使用されています
機種キシュメイ CPU チップセット FSB 最大サイダイメモリ メモリ仕様シヨウ スロットスウ
A540/C Celeron T3500 (2.10GHz)
Celeron 925 (2.30GHz)
GM45 800MHz 8GB DDR3 6400 2
A540/CX Celeron 925 (2.30GHz) GM45 800MHz 8GB DDR3 6400 2
A540/B Celeron T3500 (2.10GHz)
Celeron 900 (2.20GHz)
GL40 800MHz 8GB DDR3 6400 2
A540/BX Celeron 900 (2.20GHz) GL40 800MHz 8GB DDR3 6400 2
A540/A Celeron T3100 (1.90GHz)
Celeron 900 (2.20GHz)
GL40 800MHz 4GB DDR3 6400 2
A540/AX
A6290
Celeron 900 (2.20GHz) GL40 800MHz 4GB DDR3 6400 2
A8290 Core2 Duo T9550 (2.66GHz)
Core2 Duo P8700 (2.53GHz)
GM45 1066MHz 4GB DDR3 8500 2
A8290 Celeron T3100 (1.90GHz)
Celeron 900 (2.20GHz)
GL40 800MHz 4GB DDR3 6400 2
A8295
A8280
Core2 Duo T9550 (2.66GHz)
Core2 Duo P8700 (2.53GHz)
GM45 1066MHz 4GB DDR2 6400 2
A8295 Celeron 900 (2.20GHz) GL40 667MHz 4GB DDR2 5300 2


サウスブリッジには、すべて 82801(ICH9M)が使用されています。
ノースブリッジには、GM45、GL40が使用されています。

 
写真左側 82801(ICH9M)、写真右側 GL40


GM45 Express は、FSB667〜1066MHz、DDR2 667〜800MHz、DDR3 667〜1066MHzをサポートしています。
GL40 Express は、FSB667〜800MHz、DDR2 667〜800MHz、DDR3 667〜800MHzをサポートしています。


参考資料:Mobile Intel 4 Series Express Chipset Family Datasheet
http://www.intel.com/Assets/PDF/datasheet/320122.pdf



□3.4Gbitチップは使用不可

メモリは、JEDEC準拠であれば古くからSD-RAMの頃より上位互換があります。
DDR3の場合、例えばPC3-6400(800MHz)のメモリバスにPC3-8500(1066MHz)やPC3-10600(1333MHz)などのメモリモジュールを搭載して動作させることができます。このときのメモリは、PC3-6400(800MHz)のクロックで動作します。

しかし、以下のメモリモジュールは動作しませんでした。
シリコンパワー SP004GBSTU160N02 DDR3 PC3-12800 4GB のメモリモジュール2枚、計8GBです。


もしや高クロックのDDR3や最近のDDR4では上位互換を止めてしまったのか?と思いましたが、どうやらそうではなさそうです。 古くから自作しているユーザーでは一般常識ですが、PentiumIIやPentiumIIIの頃に使用されていたPC100やPC133のSDRAMではチップセットやマザーボードによってメモリモジュール片面あたりの実装容量、すなわち搭載メモリチップのビット数に制限があり、多くのPCユーザーを混乱を招いていました。少なくともDDR2の頃には終息した問題であると思っていましたが、DDR3でも存在しているようです。

結論から言うと、少なくともGL40を搭載したLIFEBOOK A540では最大2Gbitのメモリチップを使用したメモリモジュールしか使用できないようです。1枚4GBのメモリモジュールを使用したい場合は、片面あたり2Gbit×8個のものを使用する必要があります。
使用したメモリモジュールは以下の物です。 PC3-8500 1066MHzで、特徴は古いマックでの対応を謳っていて、購入者の評価も高く安心できます。Mac用とは言ってもJEDEC準拠のメモリモジュールを用いる仕様になっているので、Windows機でも使用できます。価格も2016年6月時点で3,800円と激安です。
ネットで古いマックでのメモリ増設の状況を調べると相性問題が少なからず発生しているようですので、恐らくLIFEBOOKと同様の問題であると思います。Mac対応が謳われていれば、確実に2Gbitチップが片面8枚実装されているであろうと踏みました。 通販で購入するときには注意が必要で、サンプル写真で片面8枚実装されていても実際に届くものは片面4枚の4Gbitチップであることがよくあるようです。購入するときには古いパソコンでの動作も謳っているか、もしくは少なからずユーザーからの具体的な動作報告あるか等も重要な要素です。このメモリモジュールで使用しているチップは、SEC(Samsung) K4B2G0846C 2Gbitでした。

参考資料:SEC(Samsung Electronics) K4B2G0846C 2Gbit DDR3 SDRAM データシート
http://www.samsung.com/global/business/semiconductor/file/
2011/product/2010/12/27/172763ds_k4b2gxx46c_rev131.pdf




以下の写真ではCore2 Duo が搭載されていますが、初期状態のCeleron 900でも正常に認識して動作します。





□4.メモリ交換の方法

(1) ACアダプタのプラグが刺さっている場合は抜きます。 バッテリ電池を外します。

(2) ネジを外して、メモリスロットのカバーを外します。ブラスドライバーのサイズは、#1を使用します。


(3) メモリスロット両側の金属ピンを外側に広げます。

(4) するとメモリモジュールが起き上がるので、引き抜きます。
奥側のメモリも同様に金属ピンを広げて、モジュールを引き起こして抜きます。

(5) 取り付けるときは逆の手順で行います。
抜いたときと同じようにソケットに斜めに挿して、メモリモジュールを倒し込みます。
差し込むときは、端子部の切り欠けの位置に注意してください。
金属ピンの辺りから「パチンッ」と音がしたらOKです。

(6) メモリスロットのカバーを取り付け、バッテリー電池を取り付けます。
ACアダプタを取り付けて起動します。起動画面が出たらF2ボタンを押して、BIOS画面を表示します。メモリが認識していることを確認します。
起動しない、もしくはメモリを認識していない場合は、端子コネクタ部分にゴミが噛み込んでいたり端子表面が汚れていたりしていることがあります。端子クリーナー等で清掃してみると改善するかもしれません。
(7) メモリの動作テストには、MEMTEST86+がオススメです。
様々なビットパターンをメモリに書き込んで、動作に問題がないかを確認するツールです。 http://www.memtest.org/ のサイトから「Download - Pre-Compiled Bootable ISO (.zip)」をダウンロードすると、 ブータブルのISOデータが取得できます。 2016月6月時点では、V5.01 (27/09/2013)が最新バージョンです。CD-R等に書き込んで、ドライブから起動できるようにBIOSメニューからドライブの起動優先順位を変更します。起動させると自動で検査プログラムが動作するので、Passという項目が1以上になるまで放置しておきます。



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