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No.5011 2018.9.30
2018.10.9 誤記修正




3Dプリンター Anycubic i3 Mega 〜ABSフィラメントを使ってみる〜







□1.ABSフィラメント

Anycubic i3 Mega の標準フィラメントはPLAですが、硬く弾性がないため回路基板のケース等に使用するには不安があります。 造形品は80℃に耐えられる物もあるようですが、一般的に5〜60℃程度になると柔らかくなり始めるようですので、車載部品として使うには不安があります。
そこで製品に広く用いられている、ABS樹脂が主成分のABSフィラメントを使用してみることにしました。

今回使用したのが、これの黒色。
安く評価件数もそこそこあるので選びました。

 
SUNLU ABS+ 3Dプリンタフィラメント1.75 mm



箱の裏面にはノズル温度とベッド温度の推奨範囲が記載されています。
今回はノズル温度240℃、ベッド温度80℃で使用してみます。








□2.温度設定
温度設定は、本体で設定するのではなく、モデリング出力データのG-codeに書き込んで設定します。
本体で設定しても、G-code内の設定情報が優先されるためです。

設定はスライサーソフトのCuraで行います。
Curaは、付属のSDカードに入っている古いバージョンではなく、
最新バージョンをダウンロードして使用します。
最新版の場合、プリンタの設定で「Anycubic i3 Mega」が項目として選択できます。
古いバージョン(15.xx.x)だと、設定をしてもうまく反映されません。
2018.9月現在、最新バージョンは3.4.1です。

Ultimaker Cura software
https://ultimaker.com/en/products/ultimaker-cura-software

ソフトは英語表記ですが、設定で日本語表示に変更できます。




設定の手順としては、
owl_pair.stl の3DデータをCuraで開き、
温度条件を設定して、
G-codeファイル Owl_pair.gcode で出力します。


今回もテストデータとして、SDカードに添付されてるフクロウを使用します




(1)出力サイズの設定

最初に、出力するデータの倍率を設定します。
開いたSTLデータをそのまま出力すると非常に大きな造形物になってしまい、
完成するのに約4時間半もプリンタが動き続けることになります。
50%にすると、PLAのときと同じ大きさになります。

手順は、フクロウのオブジェクトを選択して、
倍率のアイコンをクリックして数値を入力、変更します。






(2)出力の設定

ウィンドウ右側の項目を操作して、設定をします。

今回はとりあえずで以下の設定にしました。

ノズル温度:240℃
ベッド温度:80℃

レイヤー高さは、印刷する厚さです。
小さいほど表面の段模様が小さくなりますが、その分だけ印刷時間が増えます。
通常は0.1〜0.3の範囲で設定します。
今回は0.2mmにしました。

印刷速度は 60mm/s にしました。
Anycubic i3 Mega における仕様上の推奨速度の値です。

サポートは、なしに設定します。
ありにしたほうが熱が逃げず、ABSで問題となる反りが
発生しにくくなる効果が期待できますが、それだけ印字時間が増えます。
また、サポートをマイナスドライバー等でこじって外すのも、硬くて大変です。

ビルドプレート接着タイプはスカートに設定します。
他の方はラフトに設定する場合もあるようですが、
効果がよく分からないので、無駄のないスカートにします。
(恐らく反りを抑える効果を狙っているのだと思いますが、当方では効果が確認できませんでした。)
スカートは、初期の外周の出力によって、ヘッドノズルの出力状態を安定にします。

以下の写真は、ラフトでの印刷です。
底面に土台となる板を印刷して、その上に造形物が印刷されます。
土台は、サポートと同じように簡単に割って切り離せます。




インフィルは、内部のメッシュ構造の密度の割合を指します。
0〜20%程度が良いと思います。
密度が大きくなるほど、印刷時間も増えます。
今回のフクロウのような造形物の場合は、
外郭で十分な強度が出るので5%に設定しました。
おそらく0%でも大丈夫でしょう。
ただし外郭の設定を変更して薄くした場合は、
フクロウであってもインフィルもそれなりの数値が必要だと思います。
今回、外郭は初期設定値のままとします。


設定を完了したら、右下の「ファイルに保存する」を選択すると、
G-Codeファイルが出力されます。
このファイルをSDカードに書き込みます。




□4.印刷

さっそく印刷をしてみます。
SDカードを刺して起動し、先ほど作成したG-CODEファイルを選択してPRINTします。






ヘッドとベッドのプリヒートが開始します。
設定温度に達すると、印刷がスタートします。
写真ではE0 TEMPが230℃になっていますが、240℃で設定すれば
きちんとxxx/240℃と表示されます。(撮り忘れたので、他の写真を流用しました)





印刷中





突然印刷物がベッドから剥がれてしまいました。
これでは造形物が印刷できません。印刷を中止します。
印刷物が反って浮き上がってしまい、
ヘッドノズルが引っかかって剥がれてしまったようです。





印刷物がベッドから剥がれないように、接着力を上げる必要があるようです。
色々と調べてみると、ベッドに貼る専用のシートがあるようです。
しかし寿命があるようです。コスパが悪そうです。

 
3M 3Dプリンタープラットフォームシート(3枚入) ABS/PLA対応 3099AB





プラットフォームシートのカスタマーレビューを読んでいると、「スティックのり」という言葉が沢山出てきます。
スティックのり???と意味が分かりませんでしたが、
どうやらベッドにスティックのりを塗っておくと、印刷物のくっつきが良くなるようです。



試しにベッド表面にスティックのりを塗って印刷をしてみたところ、
無事に完了できました。
ベッドに貼ってある黒いフィルムは、自動車用のカーフィルムです。
直接ベッドにスティックのりを塗っても大丈夫だと思います。





よく見ると、浮き上がっている部分があります。
カーフィルムを貼ったため、粘着性が悪くなったのでしょうか?
スティックのりの塗りムラがあったのが原因かもしれません。
どのような理由にしろ、ABSフィラメントを用いた印刷は非常に難しいようです。
なお、このときの室内温度は26℃でした。





PLAフィラメントとABSフィラメントの比較です。
左側がPLA、右側がABSです。
ABSのほうが白っぽく、艶がない感じです。





左側がPLA、右側がABS。






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