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No.2040 2019.8.11




パイオニア カロッツェリア AVIC-RZ910 2DIN 楽ナビ レビュー ハードウェア編






□ 1.フルモデルチェンジ

モデルチェンジは毎年10月頃ですが、2019年モデルはフルモデルチェンジ(FMC)で4月に発表されました。 これは、台湾の中華映管という液晶パネル製造会社が2018年末経営破綻したため、 部材が調達できなくなったことによるもののようです。 ケンウッドやパナソニックもこの時期にモデルチェンジを行っています。

パイオニアの楽ナビは、何があったのか分かりませんがディスプレイ変更によるマイナーチェンジではなく、フルモデルチェンジを行いビックリするくらい大幅に進化しています。 例えば、下図のように地図表示の画質が大幅に向上しています。液晶はIPSです。単に解像度が800x480(VGA)から1280x720(HD)に進化しただけではありません。デザインも変化しましたが、楽ナビらしさはきちんと残っています。楽ナビの落ち着いた雰囲気が進化した感じです。他メーカーのナビのような、原色使いまくりの派手な感じは一切ありません。 本来10月発表の物をフルモデルチェンジで前倒しして出しているためか、ソフトの細かい部分での粗さも目立ちます。

上:AVIC-RZ902 / 下:AVIC-RZ910





□ 2.AVIC-RZ77との比較

進化を確認するため、旧世代のAVIC-RZ77と比較してみます。

まずは外箱です。カラーのツヤツヤした箱から、モノクロの安っぽい箱に変わりました。
箱なんか使用しないので、こういう無駄な部分にお金を掛けなくなったのは好印象です。
いくらパイオニアファンが買い支えようとしても、無駄遣いされてはたまったもんじゃありません。




画面は縁がフラットになりました。今までは縁の近くがタッチしづらかったのですが、
違和感なくタッチできるようになりました。
エスカッション下側中央にあった赤外線センサー?は消えたようですので、エアージェスチャーは消滅したようです。
誰も使わない機能が消えてコストが下がるのは良いことです。


上:AVIC-RZ77 / 下:AVIC-RZ910



電源コネクタ端子は、共通で使えます。地デジアンテナやETC等も含めて、配線はそのままポン付けで交換できます。
ただしUSBの茶色いコネクタは2個から1個に減っています。個人的には2本使っていたので、残念な変更です。


上:AVIC-RZ77 / 下:AVIC-RZ910




今までマイクは外付けだったのですが、矢印の位置に内蔵化されました。
個人的には邪魔なので接続せずにまったく使っていなかったのですが、 これだと音声認識使ってみようかな?という気になりますが、音声認識機能は削除されたようです。





液晶モニターの接続部分です。映像+イルミ+タッチパネル・ボタンの信号が流れる大切なフラットケーブルです。
写真の通り幅が長くなっています。マイクの信号線と何かの信号が増えたのでしょう。


上:AVIC-RZ77 / 下:AVIC-RZ910



DVDドライブ部分です。どちらもPanasonic製の MN2DS0018MA という統合チップが使用されています。
DVDの機能はすべてこのチップで機能しているようです。 細かい部品で色々と変更があり、ピックアップユニットは新規または大きく変更されているようです。



上:AVIC-RZ77 / 下:AVIC-RZ910




メイン基板(ナビ基板?)です。
AVIC-RZ77では、SDカードに書き込まれた地図データを読み込んでいました。
(SDカードはカバーで覆われていて、通常は抜くことができません。)
RZ910では、SKhynix H26M64208EMRN という32GBのNAND型 FRASH ROMが使用されています。
簡単にいうとSSDなどで使われる物です。 このためか、起動時間はRZ910のほうが体感的に短いです。


上:AVIC-RZ77 / 下:AVIC-RZ910




CPU(MPU)です。
AVIC-RZ77は、いくつか載っていてわかりにくいのですが、 恐らく R8A77780DA538G がナビ用のMPUです。ルネサスの高機能マイコンです。 ブロック図は末尾の型番が異なる類似品です。割と高機能なのが分かると思います。 メモリは SKhynix H5TQ2G63GFR (DDR3-1866 256MB) が2枚載っています。

AVIC-RZ77 メインマイコン




他には、地デジ基板にはルネサス R8A73706DBG、 上記メイン基板の裏に旧NEC系ASICのデジタル電源?のμPD65945GJY30(ASICマイコン)とBOOT ROM?の MX29GL128FHXFI(16MB FlashROM)、 オーディオ基板にR32C(M16C) R5F6416LADFE が載っています。 でかいマイコンがいくつも使われていて、お金が掛かっているなあという印象です。

AVIC-RZ77 サブマイコン





AVIC-RZ910は、ルネサスとの決別を考えたのか Telechips TCC8971 というマイコンが使われています。 アルパインやケンウッドでも使用されているカーナビでは有名なメーカーのようです。 ブロック図を見ると、ARM系で高機能なことが分かります。 メモリは、サムソンK4B4G0846E-BYMA (DDR3-1866 512MB)が4枚載っています。RZ77の4倍の容量です。
AVIC-RZ910 メインマイコン





メモリの近くに搭載されているPionnerのロゴが入ったICは、地デジチューナーICです。 ワンチップでRFチューナーとTS出力までができるようです。 コモディティ化が進む中で、あえて内製に挑んだのは賭けでしょうか? とても小さいのでカーナビ以外にも色々と使えそうで面白そうです。 実際に使用してみると受信感度がとても良い感じがします。 移動時のフルセグとワンセグの切り替えや、地域間での同局のチャンネル切り替えも、とても速く高性能になった感じがします。 県境での系列局へのチャンネル切り替えなどの機能も加わったようです。 ただし、他県に入ったときに自動でプリセットが切り替わる機能はなくなったようで、非常に不便になりました。 (位置情報はナビから命令するため、ナビとの連携がうまくいっていないようです。)

AVIC-RZ910 パイオニアCM0064AB 地デジチューナーIC



他には、オーディオ基板にPanasonic MNZLF79WXWUB、メイン基板のGPS付近にRENESAS SH2A 726AOD216FP が搭載されています。統合的な位置情報のモジュールでしょうか。 AVIC-RZ77で沢山使われていたルネサスマイコンは、この1つしか搭載されていないようです。ルネサスの対応の悪さは業界では有名で、 車載品特別管理?のせいでマニュアルの不明な点を問い合わせても意図した答えが得られず、みんな苦労していると思います。 そんなメーカーのマイコンが駆逐されるのは良いことだと思います。

AVIC-RZ910 サブマイコン




オーディオ基板(電源基板)です。
AVIC-RZ77ではごちゃごちゃ部品が搭載されていましたが、AVIC-RZ910ではスッキリとなっています。 このせいか分かりませんが、オーディオ音質は今までの楽ナビ特有の雑味のような籠った感じがなくなり、 他メーカーのようなスッキリとした質感になっています。ドンシャリ感も、ドンの厚みが増して良くなった印象です。
AVIC-RZ77などの昔のパイオニア製品にはルビコンの大容量コンデンサがよく使われていましたが、 日ケミに置き換わったようです。普通は車載にルビコンを使用しないので、これで車載品らしくなりました。 1本あたりの容量は、10000μFから13000μFに増加しています。


上:AVIC-RZ77 / 下:AVIC-RZ910





Bluetoothモジュールです。AVIC-RZ77 では、アルプス電気 UGXZE-103Aというモジュールが使われていました。 AVIC-RZ910では他にそれらしいモジュールがなかったため、写真のものだと思われます。D914 1CL128 と刻印されています。 モジュールが変更されたためなのか、スマホのBluetoothを有効にするとその瞬間に再ペアリングできるようなりました。今までの楽ナビではあり得ないくらいレスポンスが良好です。


上:AVIC-RZ77 / 下:AVIC-RZ910


液晶ディスプレイの制御用ICです。液晶ディスプレイに送るLVDSなどの信号をここで生成しています。 旧沖電気系でローム系のラピスセミコンダクタという会社のICが使用されています。 AVIC-RZ77 ではML7247、AVIC-RZ910ではML86303が使用されています。ビデオセレクタが内蔵されたためピン数が多くなったのだと推測されます。


上:AVIC-RZ77 / 下:AVIC-RZ910



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