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クルマで使用される電源が12Vなのは、安全性が最優先されているからです。
鉛バッテリの端子を触れても感電しないのは、乾電池と同じで低電圧であるためです。
トラックのバッテリのように電圧を上げようとすると、バッテリのセル数が多くなり、単純に大きく重くなるのも理由です。
モーターを動かすのに650Vまで昇圧するのであれば、コンバーターには12Vを供給しても良いような気がしますが、実際にそうした場合は以下のようになります。
(今回は経路上の話ですので、インバータから先の損失は無視します)
図 電圧による損失の差
上記のように、電圧が12Vと低い場合は大電流を流す必要があり、経路の影響による損失が大きくなります。
損失が大きいほど負荷が使用できる電流が下がり、電圧が分圧されて低下し、出力が落ちます。
苦労して接触抵抗が無視できるように対処しても、導体抵抗は必ず存在します。
例えば太めのブースターケーブルは最大100A程度流せますので、
経路上に少なくとも50本分以上を束ねて引く必要があります。
ボディ側のGNDも容量不足になるはずですので、同様に数十本を束ねて引く必要があります。
よって、12Vで5000Aも流そうとするのは、構造的にも難しいことが分かります。
なお、高出力に対応するために電圧を上げるという取り組みは昔からあります。
トラックの場合は、大排気量でポンピングロスの大きいディーゼルエンジンのため、
セルモーターの要求出力が大きくなります。
単純に12V+12V=24V の電圧で、4〜7kW程度のセルモーターが回せるようになってます。
この場合、166.7〜291.6Aの電流が流れることになり、最大でもHVの電線と同容量で済みます。
もちろんHVより絶縁耐圧が低くてよいので被覆が薄くなり、電線が細くなります。
7kWは、10000cc以上のエンジンで使用されています。
ちなみに乗用車には1kW程度のものが使用されており、エンジン負荷によりますが40〜60A程度流れます。
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