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No.2017 2016.5.27


自動ブレーキの比較 2016夏









□1.自動ブレーキの種類

自動ブレーキシステムには、各メーカーごとに色々な名前で乱立しているため、何が何だか分からないと思う人も少なくないと思います。2016年5月現在の現行車種で設定されている各メーカーごとのシステムは、以下の通りです。



ヒョウ カクシステムのメーカーごとの名称メイショウ
  トヨタ スバル マツダ 日産ニッサン ホンダ スズキ ダイハツ
@ ミリレーダー プリクラッシュ
セーフティ
システム
  スマート
ブレーキ
サポート
SBS
エマージェンシー
ブレーキ
衝突軽減
ブレーキ
レーダー
ブレーキ
サポートII
 
A レーザーレーダー     スマート
シティ
ブレーキ
サポート
SCBS-F
  シティ
ブレーキ
アクティブ
システム
レーダー
ブレーキ
サポート
スマート
アシスト
B 単眼タンガンカメラ       エマージェンシー
ブレーキ
  エマージェンシー
ブレーキ
 
C ステレオカメラ   アイサイト2
アイサイト3
      デュアル
カメラ
ブレーキ
サポート
 
@ + A     SBS

SCBS-F
       
@ + B Toyota
Safety Sense
P
      ホンダ
センシング
   
@ + C アドバンスド
プリクラッシュ
セーフティ
           
A + B Toyota
Safety Sense
C
          スマート
アシストU
スマート
アシストU
         




■トヨタ
(1) プリクラッシュセーフティシステム
ミリ波レーダーによるシステムです。
速度域にもよりますが、相手が低速もしくは停車時に衝突回避できる最大の速度差は30km/hです。
衝突軽減も含めた動作領域は、約10〜80km/hです。
歩行者の認識は、非対応です。

レーダーには、デンソー製などが使用されています。

(2) Toyota Safety Sense C
レーザーレーダーと単眼カメラによるシステムです。
速度域にもよりますが、相手が低速もしくは停車時に衝突回避できる最大の速度差は30km/hです。
衝突軽減も含めた動作領域は、約10〜80km/hです。
残念ながら歩行者の認識は、非対応です。

トヨタ自動車(株) Toyota Safety Sense C
http://toyota.jp/technology/toyota_safety_sense/

センサーには、ドイツ コンチネンタル製が使用されています。
特徴としては、レーザーセンサーとカメラが一体となったモジュールで構成され、
低価格化、実装コストの低減を実現しています。

コンチネンタル社 プレスリリース
カメラとレーザーレーダーで「Toyota Safety Sense」をサポート

(3) Toyota Safety Sense P
ミリ波レーダーと単眼カメラによるシステムです。
カタログ上はSafety Sense Cと同等ですが、こちらのほうが能力的に高いはずです。
ただし歩行者認識機能は、他のシステムと同様に非対応のようです。

トヨタ自動車(株) Toyota Safety Sense P
http://toyota.jp/technology/safety/toyota_safety_sense_p/

(4) アドバンスドプリクラッシュセーフティ
ミリ波レーダーとステレオカメラによるシステムです。
相手が低速もしくは停車時に衝突回避できる最大の速度差は40km/hです。
カタログ上は、トヨタ車で最高の性能を持っています。

トヨタ自動車(株) レクサスLS アドバンスド プリクラッシュセーフティシステム
https://lexus.jp/models/ls/safety/safety_technology/index.html

(5) スマートアシストU
ダイハツOEMの車種に設定されています。機能や性能は、ダイハツ車と同じです。



■スバル
(1) アイサイト3
身長1〜2mの歩行者が認識できます。
自転車やバイクも認識できます。
衝突回避は、対車両で速度差50km/h以下、対歩行者で速度差35km/h以下と、
各メーカーの中で飛び抜けた性能を持っています。
ただしカメラシステムのため、天候や照度条件によって性能が変化する場合が考えられます。

アイサイトの特徴として、自動ブレーキによって停車後にブレーキペダルを踏まない状態が2分を超えると、 電動パーキングブレーキが自動で動作します。 他メーカーのシステムだと一定時間経過後に自動ブレーキが解除されて、クリープ現象によって クルマが進んでしまいます。例えば、衝突軽減で人を轢いてしまったとき、 驚いてすぐに車外に飛び出してみたもののPレンジにするのを忘れてクルマが動いてしまう、という状態もスバル車では起きません。
少なくともスバルは、本気で自動ブレーキに取り組んでいるのだと分かります。

スバル アイサイト総合サイト
http://www.subaru.jp/eyesight/function/

ステレオカメラには、日立製(日立オートモーティブシステムズ)が使用されています。

(株)日立製作所 新世代の車載ステレオカメラ
http://www.film.hitachi.jp/movie/movie744.html



■マツダ
(1) スマートシティブレーキサポート (SCBS-F)
レーザーレーダーによるシステムです。
相手が低速もしくは停車時に衝突回避できる最大の速度差は15km/hです。
歩行者や二輪車の認識は、非対応です。

(2) スマートブレーキサポート (SBS)
ミリ波レーダーによるシステムです。
2016年5月現在では、単独での設定はないようです。

(3) SCBS-F + SBS
マツダ車の場合、このシステムがメインとなるようです。
ただし歩行者や二輪車の認識は、他のシステムと同様に非対応のようです。

マツダ(株) SCBS-F & SBS プリクラッシュセーフティ技術
http://www.mazda.com/ja/innovation/technology/safety/precrash_safety/sbs/



■日産
(1) エマージェンシーブレーキ(単眼カメラ)
歩行者や二輪車の認識に対応しています。
相手が低速もしくは停車時に衝突回避できる最大の速度差は30km/hです。
自車が約60km/h以上で走行しているときは、停止している車両や歩行者に対して衝突軽減も作動しないようです。

日産自動車(株) エマージェンシーブレーキ(単眼カメラ)
http://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/emergency_brake.html

(2) エマージェンシーブレーキ(ミリ波レーダー)
歩行者や二輪車の認識には、対応していません。
相手が低速もしくは停車時に衝突回避できる最大の速度差は車種によって異なり、 フーガやスカイラインは60km/h、キャラバンは30km/h です。 自車がフーガやスカイラインの場合70km/h 以上、キャラバンの場合約80km/h 以上で走行しているときは、停止している車両や歩行者に対して衝突軽減も作動しないようです。

日産自動車(株) NV350キャラバン エマージェンシーブレーキ
http://www.nissan.co.jp/NV350CARAVAN/safe.html



■ホンダ
(1) ホンダセンシング、衝突軽減ブレーキ (CMBS) 
ミリ波レーダーと単眼カメラによるシステムです。
歩行者や二輪車の認識に対応しています。
特徴として、警告時はブザー音と共にハンドルの振動でも知らせてくれます。
二輪車や自転車等を除く対向車にも対応しています。

本田技研工業(株) ホンダ センシング
http://www.honda.co.jp/hondasensing/

(2) シティブレーキアクティブシステム (CTBA)
レーザーレーダーによる認識システムです。
歩行者や二輪車の認識は、非対応です。

本田技研工業(株) シティブレーキアクティブシステム
http://www.honda.co.jp/safety/technology/active/ctba/

(3) 衝突軽減ブレーキ(CMBS)
ミリ波レーダーによる認識システムです。
歩行者や二輪車の認識は、非対応です。
前方の車両のみでなく、対向車にも対応しています。

本田技研工業(株) 衝突軽減ブレーキ(CMBS)
http://www.honda.co.jp/tech/auto/cmbs/



■スズキ
(1) レーダーブレーキサポート
レーザーレーダーによるシステムです。
歩行者や二輪車の認識は、原則として非対応です。
相手が低速もしくは停車時に衝突回避できる最大の速度差は15km/hです。

スズキ(株) ワゴンR 安全装備
http://www.suzuki.co.jp/car/wagonr/safety/

(2) レーダーブレーキサポートII
ミリ波レーダーによる認識システムです。
歩行者や二輪車の認識は、非対応です。
相手が低速もしくは停車時に衝突回避できる最大の速度差は15km/hです。

スズキ(株) バレーノ 安全装備
http://www.suzuki.co.jp/car/baleno/safety/

(3) デュアルカメラブレーキサポート
ステレオカメラによる認識システムです。
歩行者や二輪車の認識に対応しています。
日立製のステレオカメラが使用され、基本的にスバルのアイサイトと同等の性能です。

スズキ(株) ソリオ 安全装備
http://www.suzuki.co.jp/car/solio/safety/

(4) エマージェンシーブレーキ
単眼カメラによる認識システムです。
日産OEMのクルマに設定があります。
日産のエマージェンシーブレーキと同一の性能です。

スズキ(株) ランディ 安全装備
http://www.suzuki.co.jp/car/landy/safety/



■ダイハツ
(1) スマアシ(スマートアシスト)
レーザーレーダーによるシステムです。
他のカメラやレーザーレーダーのシステムはバックミラー付近にセンサーがありますが、
本システムはバンパーに付いてます。
歩行者や二輪車の認識は、原則として非対応です。
相手が低速もしくは停車時に衝突回避できる最大の速度差は20km/hです。

理由はよく分かりませんが、ワイパーがLoもしくはHi時は、動作が無効になるようです。
レーダーの出力が弱いので、雨に吸収されてしまうのでしょうか?
レーザーレーダーには、デンソー製が使用されています。

(2) スマートアシストU
レーザーレーダーと単眼カメラによるシステムです。
トヨタ セーフティセンスと異なるのは、レーザーレーダーがバンパーに付いています。
歩行者や二輪車の認識は、原則として非対応です。
相手が低速もしくは停車時に衝突回避できる最大の速度差は20km/hです。

理由はよく分かりませんが、これもワイパーが Lo もしくは Hi 時は、動作が無効になるようです。
雨の日には運転するな、ということでしょうか?

ダイハツ工業(株) スマートアシスト & スマートアシストU
https://daihatsu-port.jp/information/sumaashi/





□2.各メーカーの車種設定


各メーカーごとの、具体的な車種設定は以下のようになっています。


ヒョウ カクシステムのメーカーごとの車種シャシュ設定セッテイ
  トヨタ スバル マツダ 日産ニッサン ホンダ スズキ ダイハツ
@ ミリレーダー レクサス IS、RC、RC F、NX、HS
カムリ、プリウスα、アルファード、ヴェルファイア、クラウン、マジェスタ、ミライ
ハリアー、ランドクルーザープラド
  - キャラバン
フーガ
スカイライン
アコード バレーノ
エスクード
 
A レーザーレーダー     デミオ   シャトル
グレイス
フィット
CR-Z
S660
N-BOX
Nワゴン
N-ONE
ワゴンR
ラパン
アルト
エブリィ
ミライース
B 単眼タンガンカメラ       リーフ
ジューク
ノート
セレナ
エクストレイル
ティアナ
  ランディ  
C ステレオカメラ   乗用車ジョウヨウシャ
全車種
      ソリオ
イグニス
スペ-シア
ハスラー
 
@ + A     アクセラ
アテンザ
CX-3
CX-5
       
@ + B レクサス GS、GS F、CT、RX、LX
プリウス、ランドクルーザー
      オデッセイ
ジェイド
レジェンド
ベッセル
ステップワゴン
   
@ + C レクサス LS            
A + B アクア、ヴィッツ、オーリス、ノア、ヴォクシー、エスクァイア、シエンタ、カローラアクシオ、
アベンシス、カローラフィールダー
          キャスト
ムーブ
タント
ウェイク
ブーン
パッソ
ピクシスメガ
         
※ 2016年5月26日現在の情報です。
※ 実際と異なる場合があります。正確な情報は、メーカーWEBサイトや取扱説明書等を確認してください。






□3.自動ブレーキの能力

自動ブレーキの能力は、衝突するクルマや人との衝突回避できる速度差が大きいほど、能力が高いと言えます。 各社のカタログ値は以下の通りです。



表 各システムの衝突回避可能な最大速度差
  トヨタ スバル マツダ 日産ニッサン ホンダ スズキ ダイハツ
@ ミリレーダー 30km/h   不明 キャラバン
30km/h
フーガ
60km/h
不明 15km  
A レーザーレーダー     15km   不明フメイ 15km 20km/h
B 単眼タンガンカメラ       30km/h   不明  
C ステレオカメラ   車:50km/h
ヒト:35km/h
      車:50km/h
ヒト:35km/h
 
@ + A     不明フメイ        
@ + B 30km/h       不明フメイ    
@ + C 40km/h            
A + B 30km/h           20km/h
20km/h          
※ 実際と異なる場合があります。正確な情報は、メーカーWEBサイトや取扱説明書等を確認してください。




レーザーレーダーの各社ごとの出力特性は、以下の通りです。
ダイハツ(デンソー)かそれ以外かの2種類で区分できることがわかります。


ヒョウ レーザーレーダーの出力シュツリョク特性トクセイ
  トヨタ マツダ ホンダ スズキ ダイハツ
Safety Sense
P
スマートシティブレーキサポート シティブレーキアクティブシステム レーダー
ブレーキ
サポート
スマート
アシストU
最大出力(平均) 45mW 45mW 45mW 45mW 6mW
パルス持続時間 33ns 33ns 33ns 33ns 25ns
波長 905nm 905nm 905nm 905nm 860nm
発散角(水平×垂直) 28°×12° 28°×12° 28°×12° 28°×12° 14°×6°
※ 実際と異なる場合があります。正確な情報は、メーカーWEBサイトや取扱説明書等を確認してください。




□4.速度差?

相手の車が停まっていれば、速度差=自車の速度となります。
自車が40km/hで走行していれば、速度差は40km/hです。

相手の車が走行していれば、自車の速度−相手の速度=速度差となります。
相手の車が10km/hで自車が40km/hのとき、速度差は30km/hとなります。





基本的に追突事故を起こすときは、前車に追随して走行しているため、
前車がブレーキを踏んで車間距離が縮まったときに自動ブレーキが効くことになります。





車列の先頭を走行していて、うっかりよそ見をしていたら信号待ちをしていたクルマに勢いよく衝突したといったケースは、現状の自動ブレーキでは衝突回避の対象外です。衝突軽減しかできません。




□5.今が買い時?いつ買えば良い?

数年後には、もっと高性能なシステムが出てくるでしょう。
少し前までのパソコンのように、買ったときにはすでに古いシステムです。
自動運転との絡みもあるため、日々進化しています。

現状、「衝突回避」 を保証しているメーカーはありません。
どのメーカーも、「衝突を回避できる場合があります。」 といった濁した表現で謳っています。
将来的には、保証するメーカーも出てくるかもしれません。

現状でも、無いよりはあったほうがマシなレベルは確保されていると思います。
過去に追突事故を起こしそうになったことがあり、予算に余裕があれば付けた方が良いでしょう。
ただし、誤検知や過検知による警報ブザーが煩わしかったりする場合もあります。

同じ名前のシステムでも、新しい車両の場合は性能が改良されていたりすることもあります。
付けるかどうか決める前には、必ず購入予定のクルマに試乗することをオススメします。




□6.車種の具体的な性能を知りたい

具体的な車種が決まっている場合は、
以下の公的機関にて自動ブレーキの性能が実証されています。

(独)自動車事故対策機構 予防安全性能アセスメント
http://www.nasva.go.jp/mamoru/active_safety_search/


一覧表にはポイント形式で記載されているので意味が分からないと思いますが、
「結果の詳細」 を見ると具体的に何km/hまで衝突回避できて、
何km/h以上だと衝突するのか詳細が記載されてます。





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