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No.0006 2017.9.19


部品テスター MK-328 製品レビュー







□1.MK-328 とは?

MK-328 (実売価格3,000円)は、 MTester(LCR-T4)に似た動作をする部品測定器です。
表示や動作は異なるので、コピー商品ではないようです。
Ezm Electronics Studio という中国の会社が開発したようですが、
ネットで検索しても出てこないため詳細不明です。

MTesterとの最大の違いは、ケースに収められて基板剥き出しではないため、 テスターのように扱えることです。
裏にはスタンドも付いているため、斜めに立てて使用することもできます。

テストリード(プローブ)は、ICクリップとMTesterのようなICソケットタイプがあります。
どちらにでも自由に交換できるので、使いやすいほうを用いれば良いでしょう。


MK-328






□2.MK-328 のできること

MK-328は、部品の特性を測定することができます。
具体的には、 抵抗、コンデンサのキャパシタンスやESR、コイルのインダクタンスや等価直列抵抗、トランジスタ特性 、FET特性、ダイオード特性などが測定できるようです。
といっても、カーブトレーサのように本格的な測定ができる訳ではありません。あくまでも目安的な値が測定できます。例えば電子工作や修理などで、データシートのない部品の概要を知る手がかりや、新品の部品の簡易チェックなどで使えます。

測定方法は簡単で、部品をテストリードに繋げて[TEST]ボタンを押して電源を入れれば、
自動で部品が判別されて特性測定できます。
電源OFFも、一定時間経過後に勝手に切れます。

なお、一般的なテスターのような電圧や電流は、測定できません。
プローブ間に電圧を印加すると壊れますので注意が必要です。


(1) 内部電池の電圧

起動時に、使用している電池の電圧が測定できます。
電圧が低いと、特にコンデンサで正しい値が出ないようです。
VCCは、内部マイコンの電源電圧のようです。





(2) 抵抗測定

抵抗値が測定できます。
純粋なレジスタンスなのか、それともインピーダンスなのかは不明ですが、
それらしい値が測定できます。写真は秋月で購入した47kΩのカーボン抵抗です。

仕様上は、0.01Ω 〜 50MΩ まで測定できるようです。
もしホントなら、かなり高性能なマルチメータに迫るスペックです。





(3) コンデンサ測定

キャパシタンス値が測定できます。ESR(等価直列抵抗)も測定できます。
ESRは、0.18μF を超える容量の時に、分解能0.01Ωで測定できるようです。
Vlossという値も出ますが、詳細不明です。 仕様では、5000pFを超える場合に測定でき、 「voltage loss after a load pulse」 とあるので過度特性の何かの損失値だと思われます。

写真は秋月で購入した0.1μFのムラタ製セラコンです。容量が低い場合は、nF表示になります。

 


もちろんアルミ電解コンデンサも測定できます。 写真は、旧サンヨーの 50V47μF です。

 


大容量コンデンサも測定できます。 写真は、ニチコン HE 16V2200μF です。
仕様上は、25pF 〜 100mF まで測定できるようです。

 



(4) コイル測定

インダクタンス値が測定できます。
写真は、10μH (Max:0.9A、0.13Ω at100kHz)の小電源用チップインダクタです。
チップ部品などICクリップで掴めない物は、ワニぐちクリップを介します。
少なくとも等価直列抵抗については、仕様に沿う値が出ています。
インダクタンス値は仕様の下限値ですので、正しい測定値としての表示なのかどうかは分かりません。

仕様上は、0.01mH 〜 20H まで測定できるようですが、精度は良くないと明記されています。
この範囲のコイルは持っていないので、実力は不明です。





(5) NPNトランジスタ

トランジスタの値が測定できます。ピンアサインも自動判定されます。
写真は、2SC1815 GR です。




GRのhFEは200〜400ですので、ほぼTypical値です。
ピンアサインも仕様通りに正しく認識されています。
VbeとIeも仕様に沿った測定値であることがわかります。


(6) PNPトランジスタ

写真は、2SA1015 GR です。




GRのhFEは200〜400ですので、とりあえず範囲内です。
ピンアサインも仕様通りに正しく認識されています。
VbeとIcも仕様に沿った測定値であることがわかります。




(7) 他のトランジスタ

ピン配はECB固定なんだから、判別もなにもないでしょ? と思うかもしれませんので他のトランジスタも測定してみます。

写真は、S9013 H というNPNトランジスタで、中国製品に昔から広く使用されています。
数量に大きく左右されますが、2SC1815の1〜10%の値段で買えるようです。
日本メーカーの中国製品にも一般的に使用されています。
ピン配は EBC で、中国製のトランジスタでは標準的な配列です。
VCBO:40V、Ic=0.5A、HランクのhFEは、144〜202です。

測定結果は、hFEについてIランクの190〜300すら超えて仕様外ですが、中国製なのでこんなものでしょう。
ピン配は、EBCと正しく認識されていることが分かります。







S9012 H というPNPトランジスタも測定してみます。
同じく中国製品に昔から広く使用され、価格も同じように安いです。
ピン配も同じく EBC です。
VCBO:40V、Ic=0.5A、HランクのhFEは、144〜220です。

正しくEBCと認識できていることが分かります。
同じくhFEについては仕様外ですが、こんなものだと思います。







(8) ダイオード

写真は、整流用ダイオード 1N4007 です。
仕様は、Vf:1.1V (at 1A)、Max:1A、寄生容量 15pF (at 1MHz、4V) です。







(9) N MOS FET

MOS FETも測定できます。ピンアサインも自動判定されます。
写真は、2SK4017 です。
端子配列は、GDS。
VDS=60V、ID=5A、RDS=0.09〜0.15Ω(at 4V、2.5A)、ゲートしきい値電圧 Vt(VGS) =1.3〜2.5V です。

ゲートしきい値電圧Vtは、仕様の範囲内です。
RDSが仕様の最大値より若干大きいので、うまく測定できていないようです。
単に分解能の問題のような気がしますが、目安にはなると思います。
Cgについては、仕様に Junction capacitance としか書いていないため詳細が不明ですが、恐らくGD間とGS間の容量を足した入力容量を指しているのだと思われます。仕様のtypicalでは730pFとなっていますので、分解能を考慮すれば測定できていると言えます。





(9) P MOS FET

写真は、2SJ681 です。
端子配列は、GDS。
VDS=60V、ID=5A、RDS=0.16〜0.25Ω(at 4V、2.5A)、ゲートしきい値電圧 Vt(VGS) =0.8〜2.0V です。

ゲートしきい値電圧Vtは、仕様の範囲内です。
RDSが仕様の最大値の2倍ですので、うまく測定できていないようです。
Cgについては、仕様のtypicalでは700pFとなっていますので、ほぼ仕様通りです。








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□3.MK-328 のオプション機能

測定処理後の表示中にTESTボタンを長押しすると、メニューに入れます。

>



メニューには、以下の項目があります。
TESTボタンを一瞬押すと選択肢の移動、長押しをすると選択している項目に入れます。

>



(1) Switch off

電源をOFFにします。メニューを終了させる場合も、これを選択します。


(2) Transistor

強制的にトランジスタとして測定するモードのようです。


(3) Frequency

周波数が測定できるようです。
測定可能な周波数範囲や耐圧についての記載が仕様に一切ないので、使用しない方がよいでしょう。





(4) f-Generator

ファンクションジェネレーターのようです。
どのような波形がでるのか確認していませんが、1Hz単位で設定できるようです。





(5) 10-bit PWM

PWM出力ができるファンクションジェネレーターのようです。
比率で設定できるようです。周波数は不明です。





(6) C+ESR@TP1:3

強制的にコンデンサを測定するモードのようです。
テストリードが1、3で固定となっています。





(7) 1-□-ωω-3

強制的にインダクタンスを測定するモードのようです。
テストリードが1、3で固定となっています。





(8) 1-||-3

強制的にコンデンサを測定するモードのようです。
テストリードが1、3で固定となっています。
キャパシタンスのみ測定され、ESRは測定されません。
瞬時に測定でき、リアルタイムに静電容量が変化するので、サンプリングレートはコンデンサにおける他の測定モードより高いようです。





(9) C(μF)-correctio

キャパシタンス測定値の補正機能のようです。
-50〜+50%の範囲で、1%単位にて調整できるようです。
通常は、Calibration もしくは Selftest の項目で自動補正をします。






(10) Selftest

基板の内部回路を自動でテストして、自動で測定補正の設定をします。
本機能を用いるには、0.1μF以上のコンデンサが必要です。
詳細は割愛しますが、画面の指示に従って3つのICクリップを繋げたり離したりします。
途中で画面が止まって進まなくなったときにもクリップが繋がっていれば離し、離されていれば繋げます。
途中で以下の画面が出て止まったら、1と3ピン間にコンデンサを繋げます。
MK-328のファームウェアのバージョンによって、離したり繋げたりする順序や回数が異なるようです。






(11) Contrast

表示画面のコントラスト調整ができます。






(12) Show data

バージョン情報やSelftestの結果などが確認できます。








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