No.0004 2015.10.31 □1.ESRの測定器 ESRテスターを買いました。いろいろ調べてみると、電子工作業界では秋月のDE-5000が好評のようです。 悪い評価がないようでしたので、秋月で買えるテスターとしては高価でしたが購入しました。 秋月電子 DE-5000 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-06264/ ちなみに、初期価格より値上がりしているようですが、その理由がキチンと明記してありました。 このようなことは表明せずに、コスト反映分以上に便乗値上げするのが普通だと思います。 秋月電子【質問】 DE-5000 三重苦の価格について http://akizukidenshi.com/catalog/faq/goodsfaq.aspx?goods=M-06264 実際に使用してみたところ、以下のことがわかりました。 測定周波数は固定。ただし、100/120/1k/10k/100kHzの中から選択できるようです。 商品説明に書かれていますが見逃していました。 ご存じのようにコンデンサは周波数に反比例して抵抗値が低くなります。 高い周波数ほど抵抗がなくなり、電気が流れやすくなります。この周波数特性は、静電容量とも相関があります。 この特性が、オーディオのツィーターなどで利用されています。 一定以上の周波数になると、抵抗値が下がらなくなります。このときの抵抗値をESRを呼ぶようです。 さらに一定以上の周波数になると、抵抗値が上がっていきます。 このときの抵抗値はコンデンサ内のL成分(等価直列インダクタンス )によるものです。 今回はESRの話ですので無視します。 これらの特性は、実際には滑らかなカーブを描きます。 描かれる曲線の具合は、同じ容量でもメーカーやシリーズ、耐圧によっても異なります。 オーディオで使用する帯域は、ESRまでの領域です。オーディオマニアさんがコンデンサをあれこれ 付け替えて音が変わったと言い張るのは、あながち間違ってないと思います。 前置きが長くなりましたが、つまり測定周波数が低いと正しいESRが測れません。 コンデンサごとに抵抗値が落ち着く周波数は異なるので、測定周波数をスイープさせないと正確な ESRが測れないと思います。 ただ、業界標準が100kHzのようですし、10kHzであればだいたい収束域に入っているようです。 □2.ESRの測定 実際にESRを測定してみました。 測定するコンデンサは、MTesterのときの同じ物を使用します。 それとMTesterのときに冒頭で触れました、低温時にESRが高くなることについて否定的な人も 少なくないと思いますので、実際に測定してみました。 低温時の条件は、恒温槽を用いるのが理想です。が、電子工作で使うのはどうかと思います。 家庭用冷蔵庫の冷凍室-18℃で1h放置し、飽和後に測定しました。 まずは、旧SANYO 50V 47μF 105℃ CZ型 常温100kHzでは測定できませんでした。冲= -38℃ で約2Ωの増加がみられます。 ちなみにMTesterでは、44.78μF、0.63Ωです。 次は、旧SANYO 50V 22μF 105℃ CZ型 上記と同じシリーズの容量違いです。 低温100kHzでは測定できませんでした。冲= -38℃ で約5Ωの増加がみられます。 次は、ニチコン 10V 2200μF 105℃ HE型 10kHzで測定できませんでした。100Hz常温のESRも正しく測定できていないようです。 冲= -38℃ 1kHz で約0.14Ωの増加がみられます。 MTesterでは、2072μF、0.01Ωです。 次は、ニチコン 16V 470μF 85℃ VR型 常温10kHzでは測定できませんでした。冲= -38℃ で約1.5Ω以上の増加がみられます。 MTesterでは、472.4μF、0.17Ωです。 次は、ニチコン 16V 220μF 105℃ RT型 常温100kHzでは測定できませんでした。冲= -38℃ で約4Ω以上の増加がみられます。 MTesterでは、207.9μF、0.50Ωです。 次は、エルナー 50V 1μF 85℃ オーディオ用。 冲= -38℃ 1kHz以上で約18Ωの増加がみられます。 このときのテスターの表示単位は、nF表示でした。 MTesterでは、1149nF、3.3Ωです。 最後は、セラコン 村田製作所製 50V 0.1μF 100Hzと低温1kで高いESRが出ていますが、セラコンの用途と容量の観点でも低周波数での測定値は あまり意味が無いので無視します。 冲= -38℃ 100kHzで約2Ωの増加がみられます。テスターの表示単位は、nF表示でした。 MTesterでは、110.9nF、15Ωです。 といった感じの測定器です。 まず思ったのは、MTesterは意外と精度が高いのでは?ということです。 DE-5000との比較評価になりますが、MTesterは割とまともな値を出していたのだと感じます。 DE-5000を使用して気になった点は下記の通りです。 (1)キャリブレーションが不安定 個体差かもしれませんが、キャリブレーションをしてもゼロ点補正がうまくできません。 ずれ量も、キャリブレーションをする度に変化します。 そもそもキャリブレーションで、具体的にどのような値をどのように調整しているのか マニュアルに記載されていたら親切なのでは?と思いました。 (2)高い周波数で測定できない場合がある 高い周波数の設定で、うまく測定できない場合があります。 ESRが低すぎたり、放電電流が確認できずにショートと判定されているのかと思いましたが、 測定データを見直すとそうでもないようです。 原因は不明ですが、これは測定器としてどうなのか?と思いました。 マニュアルにも記載がありません。 台湾製の格安テスターに色々求めるほうが間違っているのかもしれませんが、 MTesterというコスパが高いものが存在しますので、台湾製だから許されるものでもない気がします。 |
ご利用条件 |