JIS C 60068-2-2:2010 環境試験方法−電気・電子−第2−2部:高温(耐熱性)試験方法(試験記号:B) 2016.4.25 ※ 内容を簡単に概要をまとめたものです。内容の正確さは保証しません。 ※ 必ず原文を確認してください。 □1.この規格の目的 この規格は、高温試験を実施するときに、IEC 60068-2-2:2007 の要求事項に準拠するためのものです。 高温試験は、供試品が高温環境下に一定の時間晒されたときに、問題が発生しないことを確認するために行います。 問題とは、供試品の破壊、特性パラメーターの想定外な変化、機能の異常動作などを指します。 この試験は高温環境下での性能パラメータの変化を確認するためのものでないと明記されていますが、 JIS C 0025が廃止されたため本規格が適用されることになります。 □2.試験の種類 この試験は、供試品の発熱と通電時間によって3つの区分に別れます。 ・発熱しない製品の試験: Bb ・発熱する製品で、試験開始前の直前に通電する試験: Bd ・発熱する製品で、常温から常に通電し続ける試験: Be 供試品が発熱する、しないの判断は、 供試品を通電させたときに試験品表面の最も温度上昇の高い部分が、 周囲温度より5℃を超えるかどうかで行います。 発熱する製品でも、製品の保管や輸送を想定した試験を行いたい場合は、 試験Bbを行います。 試験Beのメリットは、恒温槽の動作ONと同時に供試品を動作させればよいため、 最小限の作業工数で行えることです。 □3.試験に必要なもの ・以下の条件を満たす恒温槽 a) JIS C 60068-3-5、JIS C 60068-3-7に準拠したもの b) 供試品の寸法、発熱量に対して十分な容量を持つもの c) 試験温度(設定温度)の±2℃の変動差で制御できるもの ※ただし、試験温度が100℃以下の場合は±3℃、100〜200℃の場合は±5℃、200〜315℃の場合は±10℃でもよい。315℃を超える場合は任意の許容差となる。その場合は試験条件の許容差を変更することになるため、試験記録として残す必要がある。 □4.試験方法 【共通条件】 ・供試品は、基本的に非梱包の状態で行います。 ・梱包材に発熱材や断熱材が用いられ、輸送保管時の影響を確認したい場合は、梱包状態で行います。 ・槽内の空気は、揮発性の溶剤系の気体などで汚染されていないことが必要です。 ・試験温度は以下の温度から最適な温度を選定して行います。 テーラリングや要求仕様等で試験温度が予め決まっている場合は、その温度で行います。 試験温度[℃]: 1000、800、630、500、400、315、 250、200、175、155、125、100、 85、70、65、60、55、50、45、 40、35、30 試験温度の許容差[℃]: ±2 ・相対湿度は、35℃未満のときに50%以下でなければいけません。 ・試験時間は以下から最適な時間を選定して行います。 テーラリングや要求仕様等で試験時間が予め決まっている場合は、その時間で行います。 試験温時間[h]: 2、16、72、96、168、240、336、1000 ・試験時間の許容差は規定されていませんが、通常は-0です。 +は可能な限り最小とし、超えた時間を試験記録として保存します。 (1)試験準備 1) 供試品を高温試験で使用する恒温槽に設置します。 2) 風速0.2m/s未満の標準大気状態にて、供試品の機能を動作させます。 このときの動作は、供試品の機能が正常となる仕様値の上限(最も発熱する条件)で行います。 例えば昇圧回路が組み込まれていない供試品の場合は、電源電圧が最高電圧のときに最も発熱が大きくなります。 3) 供試品が発熱し、表面温度が安定したときの値を測定します。 測定箇所は、表面上で最も温度が高くなる位置で行います。 4) 試験槽の送風機能をONにして、空気を循環させます。 通常、恒温槽の運転中は、設定温度に達しても一定の風量で送風されます。 5) 供試品の表面温度が送風によって変化するため、安定したときの値を測定します。 6) 供試品の動作を止めて前処理を終了します。 7) 3)と5)の表面温度に5℃以上の温度差がある場合には、 「高風速条件」となります。 温度差がない場合は「低風速条件」となります。 (2)前処理 要求仕様や他の参照規格で予め決められている場合は、それに従って前処理をします。 (3)初期測定 初期測定を行います。 一連試験の場合は、前試験の最終測定の値が代用できる場合があります。 その場合、前試験の後処理後の状態とこの試験の前処理後の状態が一致している必要があります。 (4)試験前 【試験:Bb、Bd】 1) 試験槽内が常温のときに供試品を設置します。 2) 槽内の温度を試験温度に上げます。 温度変化は、1℃/min以下となるように調整します。 【試験:Be】 1) 試験槽内が常温のときに供試品を設置します。 2) 供試品を通電させて動作させます。 このときの動作は、供試品の機能が正常となる仕様値の上限(最も発熱する条件)で行います。 3) 槽内の温度を試験温度に上げます。 温度変化は、1℃/min以下となるように調整します。 (5)試験中 【共通事項】 試験中の予め設定した時間に、中間測定を行うことがあります。 要求仕様等で定められている場合や、高温環境下での性能パラメータの変化を確認したい場合などに行います。 測定中は、試験中のため供試品を槽から取り出してはいけません。 測定のために槽から取り出す場合は、供試品を複数準備して、中間測定として取り出した物は再び槽内に入れないようにします。 【試験:Bb】 1) 供試品の表面温度や内部温度が飽和し、温度安定となったら試験開始となります。 2) 試験中、供試品は非動作状態にします。 何かしらの理由で動作が必要な場合は、通電させて動作させます。 3) 槽内の風量は、「高風速条件」となるように行います。 【試験:Bd】 1) 供試品の表面温度や内部温度が飽和し、温度安定となったら供試品を通電させて動作させます。 このときの動作は、供試品の機能が正常となる仕様値の上限(最も発熱する条件)で行います。 2) 供試品の発熱による表面温度の上昇が飽和して、温度安定となったら試験開始となります。 供試品の特性により温度安定せずに変動し続ける場合は、通電開始時を試験開始とします。 3) 試験中、供試品は動作状態のままにします。 4) 槽内の風量は、「低風速条件」となるように行います。 【試験:Be】 1) 供試品の表面温度や内部温度が飽和し、温度安定となったら試験開始となります。 供試品の特性により温度安定せずに変動し続ける場合は、通電開始時を試験開始とします。 2) 試験中、供試品は動作状態のままにします。 3) 槽内の風量は、「低風速条件」となるように行います。 (6)試験後 【試験:Be】 1) 槽内の温度を標準大気条件(常温)まで上げます。 温度変化は、1℃/min以下となるように調整します。 2) 常温で温度安定したら供試品の動作を止めます。 非通電にするか、無負荷(スリープ)状態にするなどして止めます。 ※要求仕様等で後処理中に通電もしくは動作を続ける要件があれば止めずに続けます。 【試験:Bb、Bd】 1) 供試品の動作を止めます。 非通電にするか、無負荷(スリープ)状態にするなどして止めます。 ※要求仕様等で後処理中に通電もしくは動作を続ける要件があれば止めずに続けます。 2) 槽内の温度を標準大気条件(常温)まで上げます。 温度変化は、1℃/min以下となるように調整します。 (7)後処理 ・後処理は、試験槽内もしくは標準大気条件下で行います。 ・標準大気条件で1h以上放置します。 ・この処理の目的は、供試品を構成する電子部品等の内部温度を安定させるのと同時に、 適度な吸湿を想定する場合があるため標準大気条件の湿度も守られる必要があります。 (恒温槽にて標準大気条件の温度で放置する場合、標準大気条件で管理されている 試験室等の外気が取り入れられるなどして、湿度条件が守られること。) ・要求仕様等で後処理中に測定を行う項目があれば実施します。 (8)最終測定 初期測定と同じことを実施します。 □5.良否判定 【試験中(中間測定)】 ・槽外の窓から外観を目視で確認し、問題ないこと。 ・槽外から供試品の機能を確認し、正常に機能すること。 ・槽外から供試品の性能パラメーターを確認し、許容を超える変化がないこと。 ※供試品を槽外に取り出したものについては、再び槽内に入れない 【試験後】 ・供試品の外観を目視で確認し、問題ないこと。 ・供試品の機能を確認し、正常に機能すること。 ・供試品の性能パラメーターに、許容を超える変化がないこと。 □6.その他 試験結果報告書などの試験記録は、JIS C 60068-2-2:2010 8章 の a)〜f) までの項目が漏れなく記載されている必要があります。 □7.安全衛生 高温時の恒温槽や供試品等にに触れると、火傷を負う可能性があります。 本試験の対応は、労働基準法 第36条1項、労働基準法施行規則 第18条1項に該当する可能性があります。 |
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