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No.3006 2017.1.9


B-CASカードのいらないRMP方式の地デジチューナー








□1.最近のカーナビには、B-CASカードが付属していない

パイオニアの地デジ対応のカーナビを買ったのですが、B-CASカードが付属していませんでした。
欠品だと思ったので販売店に問い合わせようとしましたが、
そもそも本体側にB-CASを挿すスロットが見当たりません。

まさか、本体の製造不良っ!?
と思って、取付説明書を読んだのですが、そもそも付属品にB-CASカードが含まれていません。
取扱説明書にも、今まで存在しなかったかのようにB-CASカードについての記述が一言もありません。

しかし、地デジ対応の機種です。
何もしない状態で恐る恐る地デジを視聴してみましたが、普通にフルセグで表示できました。
もしや、B-CASがすでに本体基板内に装着されているのでしょうか?
しかし、B-CASの仕組みとしてそれはあり得ません。
「本機種は、B-CASカードが必要ありません。」といった注意書きも一切ありません。
いったい、どういうことでしょうか?



□2.B-CAS以外の方式

カーナビについて色々と調べてみたところ、パイオニアでは数年前からB-CASレスになった模様です。
パナソニックなどの他メーカーでもB-CASレスになったようです。
取扱説明書には何の説明もありませんが、B-CASが不要になった訳ではなく、
他のスクランブル解除方式に切り替えたようです。



□3.RMP方式

具体的には、RMP方式というものが用いられています。正式には「コンテンツ権利保護専用方式」と呼ぶようです。
何だ?それ?という感じでまったく知らなかったのですが、対応する団体が出来たのは2011年6月のようです。地上放送の完全デジタル化が2011年7月ですので、B-CAS方式の地デジチューナーが完全普及するタイミングを見計らって、ひっそりとスタートしたようです。混乱を招かないようにという理由でその時期にしたのでしょうが、邪推して勘ぐりたくなります。

RMP方式が誕生した経緯は、B-CAS方式の管理が株式会社によるため、出資者による優先的かつ独占的な利益享受の可能性があり、他に選択肢がない状態であると独占禁止法に抵触すると警告を受けたためのようです。
そのため、他の選択肢としてRMPが誕生したようです。
RMPの管理団体は一般法人であり、弁護士や大学教授などの第三者が組織に関与するようにして、B-CAS運営で問題となった透明性や客観性を高めるように努力しているようです。
RMP管理団体の正会員はNHKや民放各社のみで、東芝や日立といった製造業は含まれていないようです。受益者側が供給者といったB-CAS制度の問題点を排除することで、独占禁止法に絡み問題となった点を徹底排除しているようです。

RMP方式では、BSやCS放送に対応せず、地デジのみを対応するようです。これにより、東芝やパナソニックなどが販売するテレビやBDレコーダーでは、今後もB-CASが使われ続けることになります。
BSアンテナを物理的に設置することが不可能な、カーナビやスマホ、携帯電話やパソコンでの利用を前提としているようです。


表 B-CASとRMPの違い




□4.B-CASとRMPの技術的な違い

組織運営のみではなく、技術的にも大きな違いがあります。
簡単に言うと、やっていることはどちらもスクランブル解除ですが、
その方法が異なります。

B-CASでは、スクランブル解除キーをB-CASカードという形で提供されます。
チューナー内のソフトウェアがB-CASカード内にある鍵データを使用することで、スクランブルを解除します。


図 B-CASのスクランブル解除


RMPでは、スクランブル解除キーを解除ソフトウェアの中に含めてしまうようです。


図 RMPのスクランブル解除




□5.RMPのメリットとデメリット

B-CASよりも後発ですので、それを補う嬉しさが必要です。
提供者(放送会社)、採用者(製造メーカー)、買う人(エンドユーザー)の視点で考えると
以下のようになるでしょう。

提供者にとって1番のメリットは、PT2などのチューナーを潰せることだと推測します。
現状でも十分すぎるほどのB-CASカードが出回ってしまっているので効果は不明ですが、未対策のまま放置よりは効果があるはずです。実際はどうであれ、2つの選択肢が生まれることで独占禁止法から免れることもできます。

 @RMP方式を提供する側のメリット
 ・株式会社ではなく一般社団法人による管理のため、透明性や公平性に対する批判を免れる
 ・B-CASカードのような、発行の原価コストや物流コストが掛からない
 ・製品寿命の短いスマートフォンやカーナビ等のIT端末に普及させることで、
  B-CASカードの他チューナーへの流用を防ぐことができる
 ・第二の選択肢を提供することで、既存のB-CASを独占禁止法から守ることができる
 ・BSやCSを対象外とすることで、B-CASとの共存が図れる


採用者にとってのメリットは、コスト削減と設計自由度が増えることでしょう。
RMPは無償ではないようです。削減できる原価コストはわずかな金額ですので、利益にはなっても販売価格が安くなることはないはずです。 カード端子接点の接触不良といった、アフターサービスの対応コストも減らせるはずです。
チューナー部分はコンパクトさが求められるため、物理的な構造物が不要になるのは設計的なメリットです。

 ARMP方式を採用する側のメリット
 ・B-CASカードとカードスロット分の原価が下げられる(2〜300円程度?)
 ・B-CASカードスロット分の設計的に自由な空間が生まれる
 ・B-CASカードスロット起因のクレームや故障が減らせる


買う人にとってのメリットは、ないと考えます。
逆に、新規で開発されたチューナーを使うことになりますので、枯れるまでは不安定、低性能な物を使う羽目になる可能性もあります。実際にRMP方式のチューナーが内蔵されたカーナビでは、今まで地デジで視聴できていたところでワンセグになってしまうことが頻繁にありました。もちろんRMP方式を提供する側の責任ではないため、エンドユーザーからそのような声が聞かれても対応に苦慮してしまうでしょう。

 BRMP方式チューナーを買う側のデメリット
 ・枯れていない新技術のため、チューナーに不具合があったり細かな最適化がされていない。
 ・B-CASカードを他のチューナーへ流用することができない。




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