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基本的には一般的なキャリパーと同じですが、
一部の構造は独特で特殊だったりもします。
例えば、パッドとキャリパーの間にあるサポートシムがありません。
前後とも構造は一緒です。今回はリア側を例にします。
キャリパー自体は、16mmのボルトで2か所でナックルに止まっています。
ブレーキホースは、14mmのブレーキホースレンチを使用します。
パッドセンサーはクリップで止まっているため、引っ張れば外れます。
ブレーキホースは、ストレート等で売っているブレーキホース用の黄色い栓で止めます。
キャリパーASSYを分解した状態です。
それぞれ部品について説明してゆきます。
ブレーキピストンです。赤矢印の部分に錆が出やすいので、オーバーホール時には錆をすべて取り除きます。錆を取った箇所は耐熱ペイントなどを塗って乾燥させます。通常の防錆剤等は熱で飛んでしまいます。矢印の横の溝部分や矢印の左側の面に錆があるときはピストンを交換します。
パッドと当たる面に錆がある場合も、すべて削り取ります。サンドペーパーの使用は、厳禁です。スクレーパー等で錆の部分のみ削ります。
穴の部分の錆も取れるだけ取ります。錆を取った後は、耐熱ペイントか鳴き止め防止のパッドグリースなどを塗ります。穴と表面の間のテーパー状の部分の錆は、パッドを侵食するので特に入念に錆を取ります。
パッドです。ピストン側のパッドには金具が付いています。外すときには錆でピストンと固着しているかもしれません。この金具とピストンの当たり部分は、回転するように動かないといけない摺動部分になるので、組み付けるときには金具側とピストンの穴の内側にシムグリースを塗ります。
一般的なキャリパーだとサポートシムが当たる部分で摺動部になる重要な箇所になりますが、このE46のキャリパーでは、そんなに重要な部分ではありません。キャリパーと当たる部分ではあるため、古いグリースや錆などは綺麗に取り除き、組み付けるときには鳴き止め用のパッドグリースかシムグリースを塗ります。
ピストンシールです。変形や切れがある場合は交換です。外側に小さなヒビ割れが無数にあればピストンシールの寿命です。1〜2年に1回オーバーホールしているのなら、シールはクリーニングして使い回しても問題ありません。取り外すときは、角をヤスリ等で削った精密マイナスドライバーを使用します。マイナスドライバーをそのまま使用するとピストンシールの溝付近を傷付けてしまいます。組み付けるときは耐熱シリコングリースを使用します。
ダストシールです。変形や切れ破れ、小さくても穴がある場合は交換です。キャリパーに取り付ける突起部分に切れや変形がないか入念に確認します。ダストシールもクリーニングして使い回しても問題ありませんが、古いグリースは完全に取り除く必要があります。錆の鉄粉もこびり付いているので、クリーナーを付けて取り除きます。組み付けるときは、ラバーグリースを使用します。
バックプレートのガイド用のブッシュです。取り外すときは、錆でキャリパーに固着しているのでマイナスドライバー等でブッシュの周囲を切り離してから外します。ブッシュは硬化していると思いますが、固くて問題ない部分ですので破損がなければクリーニングして再利用します。組み付けるときは、ブッシュ内部にシリコングリースを塗ります。外部のキャリパーと当たる部分にも錆防止のために薄く塗っておきます。
バックプレートのガイドです。六角レンチは7mmです。錆があれば削ります。錆が酷ければ交換です。組み付けるときは、クリーニングして古いグリース等を完全に取り除き、シリコングリースを薄く塗ります。
バックプレートを固定するスプリングです。バックプレートと当たる部分は摺動部分になります。摺動部分がザラついていると、ブレーキ鳴き等の原因になります。スプリングのメッキの上に錆?等が固着しているので、削ってツルツルになるようにします。組み付けるときは、バックプレートと当たる爪の部分に、鳴き止めパッドグリースかシムグリースを塗ります。
ブリーダー バルブです。先の白くなっている部分の錆は、スクレーパー等で慎重に削って落とします。中にゴミ等が詰まっている場合があるので、横穴の部分からエアーを吹き付けて綺麗にします。
バックプレートです。この部分の仕組みは、一般的なキャリパーとは少し違うので注意します。
パッドと当たる部分にサポートシム等は、ありません。
この部分は、バックプレートを固定するスプリングの爪と当たります。
スプリングの爪の摺動部になります。一般的なキャリパーには存在しない構造です。
錆が発生してザラザラだと、キャリパーの性能が低下します。
錆を落として表面をツルツルにします。その上で錆の防止のために耐熱塗料などを塗布します。
半乾きだと塗料が削れてしまうため、オーブンなどで焼いて完全硬化させる必要があります。組み付けるときは、この表面に鳴き止めパッドグリースかシムグリースを塗ります。
この部分は、パッドと当たる部分です。一般的なキャリパーでは、この部分にサポートシムを取り付けますが、
このキャリパーでは使用されていません。サポートシムに相当する構造は、上記のバックプレートを固定するスプリングが受け持っています。パッドの動きをガイドする役割はあるため、錆や古いグリースをスクレーパー等で完全に取り除き、表面をツルツルにしておきます。その上で錆の防止のために耐熱塗料などを薄く塗布して完全硬化させます。組み付けるときは、この表面に鳴き止めパッドグリースかシムグリースを塗ります。
当たり面はテーパー構造になっていますが、錆や汚れがひどいとテーパー面が隠れてしまっています。
キャリパー本体です。
シリンダーの入り口付近に錆が出ていると思います。スクレーパー等で慎重に傷つけないように錆のみ削り取ります。錆の防止のために耐熱塗料などを薄く塗布しておきます。
ダストシールはラバーグリースを内側に沢山盛ってからピストンに写真のように組み付けます。この状態でキャリパーにダストシールを取り付け、それからピストンをシリンダーに押し入れます。
ガイドのブッシュに付けるキャップです。これを付け忘れると、ガイドが醜く錆びてキャリパーがまともに動かなくなります。
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