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No.2036 2019.2.27
ダイハツ マックス(MAX) EF-VE型エンジン オイル漏れの修理
オイルパン漏れ、オイルフィルタハウジング漏れ
□ 1.どうやらこの時期のダイハツの定番らしい
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マックスに限らず、この頃のダイハツ車のエンジンオイル漏れは定番のようです。
2か所から漏れるようで、1ヶ所はオイルパンから、もう1ヶ所はオイルフィルタハウジングの裏からようです。
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□ 2.オイルフィルタハウジングからの漏れ
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Googleで検索すると詳しく書かれている方がいるので割愛します。
ハーフムーンレンチが初めて役に立ち、感動しました。公開して頂いた方に感謝です。
12mmで使用するので、12−14mmのレンチがおすすめです。
要点は、まずフロントバンパーを外します。
左右のフォグランプ裏付近にボデーと固定するナットがあるので必ず外します。
作業スペース確保のために、エキマニのカバーを外します。
O2センサーのコネクタを外してカバーからケーブルを離し、3か所のボルトを外します。
オイルポンプからの配管はエンジン側だけ外します。
銅ワッシャーの品番は90044-30258で、必要個数1、価格は280円くらいです。
ちなみにハウジング裏のOリングは、品番90043-01141で、必要個数1、価格は400円くらいです。
ハウジングを外すとシャフトにOリングのようなものが見えますが、
それはOリングではないのでそのままにします。
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□ 3.オイルパンからのオイル漏れ
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普通のクルマであれば簡単に直せる不具合ですが、
この車種は難易度が高めです。
ちなみにどういう設計思想なのか分かりませんが、オイルパンガスケットの設定がありません。
これがオイル漏れが多発してる原因になっているような気がします。
シーリングは液体ガスケットを使用します。
液体ガスケットは、定番ですがRTVガスケットを使っておけば問題ありません。
前準備としてフロントバンパーを外します。
左右のフォグランプ裏付近にボデーと固定するナットがあるので必ず外します。
オイルフィルタハウジングの漏れのときも外しますので、一緒に修理すると手間も掛らないでしょう。
メンバーサポートを外します。4か所で止まっています。
排気温センサーカバーを外して、センサーケーブルのコネクタも外します。
コネクタを外しておかないと、マフラーを外した時にケーブルが引っ張られて断線してしまいます。
エキマニとマフラーを離します。
マフラーサポートも1ヶ所外しておきます。
トランスミッションとエンジンの結合を補強しているプレートを外します。
正式名称はパワートレーン スチフナ と言うようです。
写真で示すと、左上がAT側、右下がエンジン側です。
3か所のボルトで止まっています。
ここから難易度が高くなります。
まずバールのような物を準備しておきます。
写真でいうと矢印側を使用しますので似たような工具であれば何でもかまいません。
クレーン機能付きのエンジンホルダーがあれば、それを使用したほうが良いかもしれません。
フロント側のエンジンマウントについて、メンバと締結されてるボルト3本を外します。
バールのような物の先にシリコンスプレー等の潤滑剤を吹きかけて、エンジンマウントとメンバの間にこじ入れます。
てこの原理でエンジンマウントを浮き上げて、厚さ1cm以上の木片等を挟み込みます。写真は、2x4材の切れ端です。
オイルパンを外すときにエンジンマウントと干渉して取り出せないのですが、
オイルパンのAT側の先を隙間に通すようにするとうまく外れます。(これに気づくまで約2時間格闘しました。)
オイルパンのボルトやナットを全部外します。
写真のようにユニバーサルジョイントは必須です。緩めるときだけラチェット等を使用し、
外すときはエクステンションバー + ソケット + ユニバーサルジョイントの組み合わせでバーを摘まんで回して外します。
締め付けるときも同様です。いきなりラチェットを使って締め付けてはいけません。ナメたら終わりです。
オイルパンセパレーターを使用して、オイルパンを分離します。
ネットで検索するとマイナスドライバーでこじって分離しようとする人が時々いますが、
エンジン側が削れてしまうとアウトですので使用厳禁です。
オイルがしみ込んでいて液体ガスケットがほとんど機能していないようで、簡単に外れると思います。
外れたオイルパンは、オイルパンのAT側の先を準備しておいたエンジンマウントの隙間に通すように回転させて、知恵の輪を解くように外します。
オイルパンに付いている古い液体ガスケットは、スクレーパーを使用して削り取ります。
削りカスが中に入らないように、削り取る箇所が常に下になるようにして、マスキングをしておけば完璧かもしれません。
溝やボルト穴部分も全部取り除きます。
この作業が雑だったり、古いガスケットが残っていると、そこからすぐに漏れてきます。
エンジン側も同様に、古い液体ガスケットを削り取ります。
写真は作業前の状態ですが、ガスケットはほとんど残っていませんでした。
作業的には楽でよかったのですが、これでは漏れて当然だなと思いました。
オイルパンに液体ガスケットを塗って取り付けます。
ボルト穴は塞がないように、ムラなく合わさる面の全体に塗ります。
オイルパン側の溝の部分は、気泡が入らないように充填します。
ちなみに液体ガスケットは、乾かないうちに取り付けるのが正しいです。塗ったらなるべく10分以内に組み付けます。
ネットで検索すると、時々乾いてから取り付けるような文言を書かれている方がいますが間違いです。
オイルパンのボルトやナットは、ラチェットを使用せずに、
指でエクステンションバーやソケットを回して回らなくなるまで仮締めします。
仮締めしたらトルクレンチを使用して、既定のトルクの半分でで締め付けます。
すべて締め付けたら、最後に既定のトルクで締め付けます。
この車種の整備書を持っていないので1.5kgf・mで締めましたが、他のEF-VEのエンジン整備書で調べた限りでは0.8kgf・mくらいのようです。
オイルパンのボルトを締める順番は、教科書通りにシリンダーヘッド等と同じように真ん中から締めていきます。
過走行車は、オイルパンが微妙に歪んでいたり反っていたりする場合があります。
オイルパンは正方形に近い形なので、横も同じように締めていきます。
最後に四隅を締めます。
最後の最後に、締め忘れていない箇所がないかの確認で、スタート位置を決めて同じトルク設定で1周締めていきます。
トルクレンチの二度締めは一般的にダメだと言われていますが、締め忘れがあっては本末転倒ですので二度締めします。
このとき、割と締められる箇所があると思います。すべて締め付けることによって最初に締め付けた箇所がボルトにかかる
荷重が低減されるためです。こういったこともあるので、必ず二度締めします。
オイルパンを取り付けたら、逆の手順でクルマを復元していきます。
エンジンオイルは1日以上放置してから入れます。
RTVガスケットの場合、常温でゴム状硬化が15〜16時間、完全硬化が3日以上掛かります。
(整備工場では2〜3時間の放置でオイルを入れてしまうようですが。。。)
こういった整備性の問題があるため、セミメタルガスケット等が主流だと思います。
セミメタルの場合、漏れてきても増し締めすれば漏れが止まる特徴があります。
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